2005 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物型リン酸化情報ネットワークを介する抗生物質生産制御機構の解明とその応用
Project/Area Number |
16770150
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
熊谷 孝則 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (70274058)
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Keywords | 放線菌 / シグナル伝達 / チロシンリン酸化 / 2D-PAGE / 免疫沈降 / MS / MS解析 / Walkerモチーフ |
Research Abstract |
放線菌において、タンパク質のチロシン残基を介したシグナル伝達機構はほとんど明らかになっていない。本研究では、放線菌Streptomyces (S.) coelicolor A3(2)に存在するチロシンリン酸化タンパク質を同定し、それらタンパク質がどのように形態分化や抗生物質生産の制御に関わっているか明らかにすることを目的とした。 S.coelcolorからのチロシンリン酸化タンパク質の抽出・分離は、抗ホスホチロシン抗体を用いた免疫沈降および二次元ゲル電気泳動(2D-PAGE)により行った。その結果、十数個のチロシンリン酸化タンパク質のスポットを2D-PAGEゲル上で見出すことができた。それらスポットについて、ゲル内トリプシン消化、それに続いてMS/MS解析を行うことにより、2つの機能未知タンパク質を同定することに成功した(SCO2364およびSCO5717)。SCO2364タンパク質は、そのC末端に4つの繰り返されたYGYPQモチーフを有しており、また、ストレスタンパク質に認められるTerDドメインを保有していることから、何らかのストレス応答タンパク質であると考えられた。一方、SCO5717タンパク質は、そのC末端にチロシンに富んだ配列を有しており、また、ATP結合モチーフであるWalkerモチーフを保有していることから、キナーゼであると推測された。これらタンパク質の機能を明らかにするため、それらタンパク質をコードする遺伝子を放線菌S.lividans 66およびS.coelicolorに導入した。その結果、SCO5717を導入した放線菌では、増殖の遅延および色素性抗生物質の生産抑制が認められた。この結果から、SCO5717はS.coelicolorにおいて、形態分化および抗生物質生産の制御に関与していることが示唆された。今後、さらなる解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)