2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪滴膜で機能するドーフマン‐チャナリン症候群の原因因子CGI‐58の解析
Project/Area Number |
16770155
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山口 智広 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助手 (50347530)
|
Keywords | 脂肪滴 / 脂質代謝 / 3T3-L1細胞 / CGI-58 / ペリリピン |
Research Abstract |
脂肪滴は真核細胞内に普遍的に存在するオルガネラであり、細胞内の脂質の代謝や貯蔵において重要な役割を果たしている。我々はこれまでに脂肪滴に局在する機能タンパク質としてCGI-58を同定し、さらにこれがPATドメインファミリーの1つペリリピンと相互作用することを見出した。CGI-58は、中性脂肪蓄積症であるChanarin-Dorfman症候群(CDS)の原因遺伝子として報告されているが、変異により細胞機能にどのように影響し発症するのか、その分子メカニズムは不明である。そこで今回、CGI-58の細胞レベルでの機能解析を行った。 CDSにはこれまでに3種類の点変異が報告されており、それらに相当する変異を組み込んだGFP-CGI-58を3T3-L1細胞に発現させると、2つの変異体(Q132P、E262K)において、脂肪滴への標的化が阻害されていた。これらの変異体では野生型に比べペリリピンとの結合能力が減弱していることがGST-Pulldown法により確認された。以上の結果は、CDSの発症にはCGI-58の脂肪滴への標的化が関与していることを示唆している。 次に、CGI-58の脂肪滴局在化に必要なドメインの検討を行い、N末端の約10残基を除くほぼ全長の領域が必要でることが分かった。また、CGI-58の組織分布をノザンブロット法およびReal-time PCR法で検討したところ、基本的に全身の組織にmRNA発現が見られたが、特に脂肪組織、副腎、精巣に高発現していた。 次にCGI-58の細胞内での機能解析のためRNAiによるノックダウンを行った。分化前の3T3-L1細胞でCGI-58をノックダウンすると、正常細胞に比べ明らかな脂肪滴の増加が認められた。さらにRNAiにより脂肪細胞の分化の進行にも異常が認められた。よってCGI-58が脂肪滴形成や脂肪細胞分化に関与していることが示唆された。
|