2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経分化開始の中心機構としての転写制御因子SOX2の活性制御
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16770162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内川 昌則 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助手 (80346147)
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Keywords | Sox2遺伝子 / 神経誘導 / Fgfシグナル / Wntシグナル / BMPシグナル / stem zone / N-1エンハンサー |
Research Abstract |
本研究では神経分化を開始させる機構を解明するために、誘導シグナルに応答するSOX2に着目して解析し、以下のことを明らかにした。 1,神経誘導シグナル比応答するN-1エンハンサーの制御機構の解明 神経誘導に伴うSox2の発現を担うN-1エンハンサーは、Fgf及びWntシグナルの影響下で発現される。このエンハンサー活性を示す領域は、stem zoneと呼ばれ後方神経の誘導に重要な領域とほぼ一致することが明らかとなった。N-1エンハンサーの活性を示す細胞を蛍光ラベルし、その細胞系譜を解析したところ、分裂しながら集団で後方に移動することが明らかとなった。現在その細胞集団の性質を明らかにするとともに、Fgfシグナルに応答する領域に実際にどのような転写因子が働くかを蛋白質精製の手法を用いて同定している。 またSox2の発現にはBMPシグナルが抑制的に働き、その働きとN-1エンハンサーの活性によってSox2の発現が厳密に制御されると考えられる。その抑制に関わる領域の特定も行っており、この解析によってBMPの神経誘導における役割が分子レペルで明らかにできる。 今後この解析を発展させ、後方神経の成立をより詳細に解明したいと考えている。 2,神経分化を進める機構の解明;神経形成過程におけるSOX2の機能を解析する。 N-1エンハンサーによるSOX2の機能を明らかにするために、N-1エンハンサーを特異的に欠損させたマウスを作成中である。現在までに組み換えを起こしたES細胞の単離は終了した。今後、この細胞を用いてノックアウトマウスを作製する。 N-1エンハンサーに組み換え蛋白質Creを繋いだトランスジェニックマウスの作成を行った。Creの発現された領域をLacZで観察したところ、N-1エンハンサーが後脳以降で活性化されることが明らかとなった。この結果は、神経誘導が前方と後方で異なった機構によることを示唆する。
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[Journal Article] Comparative Genomic and Expression Analysis of Group B1 sox Genes in Zebrafish Indicates Their Diversification During Vertebrate Evolution2006
Author(s)
Okuda, Y, Yoda, H, Uchikawa, M, Furutani-Seiki, M, Takeda, H, Kondoh, H, Kamachi, Y.
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Journal Title
Developmental Dynamics 235・3
Pages: 811-825
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