2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物骨格筋の背腹パターン形成機構とその進化に関する研究
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16770174
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
日下部 りえ 独立行政法人理化学研究所, 形態進化研究チーム, 研究員 (70373298)
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Keywords | メダカ / ヤツメウナギ / 軸上筋 / 軸下筋 / 体節 / Da変異体 / 筋分化 / 脊椎動物 |
Research Abstract |
平成16年度は、野生型メダカに加え、複数の変異メダカ系統を維持し交配するための飼育設備を導入し、得られる胚を恒常的に観察・操作する体制を整えた。すでに、筋肉特異的プロモーターにGFPをつないだ融合遺伝子を利用し骨格筋を蛍光化したトランスジェニックメダカ系統と、Da(double anal fin)変異体との交配を行っており、骨格筋が可視化されたDaメダカの稚魚が育っている。このようなトランスジェニック系統は、正常胚および操作を加えた胚において骨格筋形態形成の詳細な比較を行う際の有用なツールとなることが期待される。 また、筋肉特異的プロモーターの下流にDaの原因遺伝子であるZic1の翻訳領域をつないだ遺伝子コンストラクトをメダカ受精卵に顕微注入する実験を行った。これまでに外来遺伝子が骨格筋特異的に発現していることと、対鰭に移動する軸下筋には外来遺伝子が発現しないことを確認している。一部の胚では対鰭の形成に異常がみつかっており、今後はZic1の強制発現と軸下筋の発生異常との関連を解析する予定である。 ヤツメウナギなど無顎類の筋肉には軸上・軸下の区別がなく、より単純な形態を保持している。ヤツメウナギの筋肉特異的遺伝子の発現パターンを調べ、そのうちのLjMA2およびLjMyHC1は体幹部骨格筋のなかでも傍軸部や腹側の辺縁部など限られた部分で発現することを見いだした。また、ヤツメウナギのPax3/7遺伝子は、筋節の辺縁部に特異的に発現していた。すなわちヤツメウナギの骨格筋も顎口類と同様、異なる遺伝子カスケードに支配される複数の領域に分かれることが示唆される。そこで、ヤツメウナギの骨格筋パターニングを、野生型およびDaメダカの場合と比較する目的で、ヤツメウナギのZic遺伝子群の単離を試み、複数の遺伝子断片を得た。現在、それらの遺伝子の初期発生における発現パターンを解析中である。
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Research Products
(2 results)