2004 Fiscal Year Annual Research Report
オーガナイザー形成におけるTEF転写因子の機能解析
Project/Area Number |
16770175
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
澤田 篤志 独立行政法人理化学研究所, 胚誘導研究チーム, 研究員 (70373313)
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Keywords | TEF / Wntシグナリング / Foxa2 / オーガナイザー / マウス / 形態形成 / 胚葉分化 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
TEFとWntシグナリングとの関連を調べるために、ゼブラフィッシュ胚に対する共注入実験を行った。抑制型TCE3によりWntシグナリングを遮断した胚では、活性化型TEFを注入してもFoxa2(HNF3β)の発現は活性化しなかった。また抑制型TEFを注入した胚では、Wnt8.1を注入してもFoxa2は発現しなかった。さらに活性化型TEF単独の注入では、胚の背側でのみFoxa2の発現が活性化されたが、活性化型TEFとWnt8.1を共注入すると、胚の全周にわたって、Foxa2の発現が活性化された。これらの結果から、TEFとWntシグナリングが協調して、Foxa2の発現を制御していることが示唆された。 遺伝学的解析によりTEFの機能を明らかにする目的で、TEF1およびTEF4ノックアウトマウスを作成した。TEF1突然変異マウスは心臓の欠陥により致死となることが知られているが、E8.5においては特に異常は認められなかった。また、TEF4ノックアウトマウスには何の表現型も認められなかった。そこで、TEF1とTEF4のダブルノックアウトマウスを作成した。この胚はE8.5において胴体が短縮し、神経管や脊索などの中軸構造と体節が欠損していた。またTEF1,TEF4ダブルノックアウト胚におけるFoxa2の発現は、脊索前盤および頭部側の体幹部では認められたが、尾部側体幹部および尾芽では失われていた。このことから、TEFはオーガナイザー領域におけるFoxa2の発現の維持に必須であることが示唆された。さらに、それぞれ脊索、体節および神経組織のマーカー遺伝子であるBrachyury、Mox1、Sox2の発現を調べた。TEF1,TEF4ダブルノックアウト胚でのこれらの遺伝子の発現は、尾部では認められたが、体幹部では失われていた。従って、TEFには胚葉の分化またはその維持に必須な役割があることが示唆された。
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