2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナメクジウオの鰓裂関連遺伝子群を用いた鰓裂の進化学的研究
Project/Area Number |
16770179
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小笠原 道生 千葉大学, 理学部, 助手 (00343088)
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Keywords | 脊索動物 / ナメクジウオ / 鰓裂 / 遺伝子発現 / 分子進化発生 |
Research Abstract |
頭索類ナメクジウオは脊索動物の祖先に類似した体制を保持していると考えられていることから、脊索動物のボディープランの進化を理解する上で鍵となる動物群である。しかし、試料が希少であることから遺伝子情報基盤が充実しているとは言えない。 そこでまず、本研究テーマである鰓裂と同様に咽頭器官であるナメクジウオの内柱関連遺伝子群の発現解析結果を国内外の研究者の共同研究論文として報告することで、ナメクジウオの咽頭器官研究体制を整えた。 次に、ナメクジウオ成体で発現する遺伝子情報基盤の充実、特に鰓裂の機能および形成メカニズムを理解する上で有用な遺伝子群の単離を試みた。これまでの研究では、網羅的なin situハイブリダイゼーション(ISH)法を用いた遺伝子発現解析によるスクリーニングが器官特異的遺伝子を得る手法として有用であったことから、ナメクジウオ成体の咽頭領域のcDNAライブラリーから無作為に372クローンを選択し、DIG-RNAプローブを作成後、発現解析を行った。ISHに際しては、これまでにホールマウント用InSituチップを開発・製品化してきたが、試料が希少であるナメクジウオではより経済的な切片ISHを行うこととし、また、ポストゲノム時代のハイスループットISHのニーズに対応するため、スライドガラスに依存しない独自の切片多検体ISH法を開発した。この新規ISHシステムを用いることにより、鰓裂特異的遺伝子を9個、鰓裂顕著遺伝子を13個単離した。これらの遺伝子発現を詳細に解析した結果、鰓裂を構成する一次鰓葉・二次鰓葉における発現パターンは少なくとも5タイプに分けられることがわかった。 さらに、これらの解析で得られた発現データを他のナメクジウオ研究者が利用できるようにするため、ナメクジウオ成体遺伝子発現データベースを構築しており、本研究論文の投稿後に公開を予定している。
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