2005 Fiscal Year Annual Research Report
発光する甲虫の進化-ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応の起源
Project/Area Number |
16770180
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大場 裕一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (40332704)
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Keywords | 発光 / 分子系統解析 / ルシフェリン生合成 / ルシフェラーゼ / ホタル上科 |
Research Abstract |
コメツキムシ科の分子系統解析は、28SrRNA遺伝子のシークエンスによりその単系統性および全亜科間の系統関係を明確に示すことができた。最尤法による計算にはスーパーコンピュータを使用した。ジョウカイボン科の解析は、18SrRNA遺伝子を用いることでその単系統性を示すことができた。各科の単系統性を示したことで、今後の科間の解析を容易にすることが可能となった。 ルシフェリンの起源を調べるために、ホタル科に近縁なグループ(ジョウカイボン科、ベニボタル科)がルシフェリンを持っているかどうかを検討した。解析には、HPLC-蛍光検出法とルシフェラーゼによる発光検出法の双方を併用することで確度の高い定量結果を得た。結果的に、ホタル科に近縁であっても光らない種にはルシフェリンは含まれないことを示した。また、発光種では、ルシフェリンは幼虫よりも成虫で多いことが確認された。このことは、ルシフェラーゼ遺伝子の発現が幼虫に多く成虫ではほとんど発現していない事実と正反対であり、興味深い。 非発光性のコメツキムシ科2種からルシフェラーゼ様遺伝子をクローニングすることに成功した。さらに、これらの遺伝子発現産物が脂肪酸CoA合成酵素をコードしていることが各種アッセイにより明らかとなった。これらの遺伝子はヒカリコメツキルシフェラーゼとアミノ酸レベルで約58%と高い相同性を示している。すなわち、今回クローニングに成功したこれら非発光性コメツキムシのルシフェラーゼ様遺伝子配列を詳細に検討することで発光活性に関わる重要なアミノ酸変異を特定できるかもしれない。 本研究課題により得られた成果は、今年度合計2報の学術論文にまとめた。
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Research Products
(2 results)