2004 Fiscal Year Annual Research Report
交通車両内における高齢者や障害者の機能性に配慮した設備のあり方に関する研究
Project/Area Number |
16770188
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西岡 基夫 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助手 (90347500)
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Keywords | 鉄道車両設備 / 人間工学 / バリアフリー / ユニバーサルデザイン / インテリアデザイン |
Research Abstract |
研究を推進する上で基礎的知見となりえる、手すり・吊り輪のユニバーサルデザインに関する情報の収集、および鉄道事業者を中心としたバリアフリーデザインにおける方向性と今後の展開に関するヒアリング・アンケート調査、さらに実際の車両における手すり・吊り輪の使用状況の観察調査を行った。 現状では車両内におけるユニバーサルデザインは座席やサイン計画などへの取り組みはいくつか見られるが、手すりや吊り輪における取り組みについては殆どみられず、コストや座席寸法などの他条件が優先されていることが分かった。私鉄などでは手すりの高さを数種類設定し、年齢差や性差などによる体格の違いに考慮した提案を行っている事例が見られたが、高さ設定の根拠などが明確でなく、体格差に適応した設定条件を明らかにする必要性を確認できた。 設定条件を明らかにする為に、実際の手すり・吊り輪の使用状況について鉄道車両内で観察調査を行った。大都市の環状路線(一周約一時間)と地方都市の往復路線(片道約30分)の利用者約1000人について調査を行った結果、手すりより吊り輪の方が手の位置や姿勢を変化させる傾向がみられた。特に吊り輪において、初期は片手で利用するが時間が経過するにつれ両手や2つの吊り輪を持つ例が増加した。また着席している乗客との接触を避けるために無理な姿勢で利用したり、手荷物と吊り輪保持のバランスを崩して転倒の危険性を持つケースなどもみられた。さらに、ホームの階段や改札などとの位置関係によって混雑度の高い車両と低い車両が一日を通してある程度明確化でき、それぞれ使用される設備の頻度も使用状況も変化する傾向もみられた。このことから吊り輪は姿勢の保持が難しく、握り部の高さや形状、着席部との距離や吊り輪同士の間隔等、十分に検討する必要があるといえる。
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Research Products
(1 results)