2004 Fiscal Year Annual Research Report
作物根における活性酸素の消去能ならびに生成抑制能と耐塩性との関係
Project/Area Number |
16780009
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平井 儀彦 岡山大学, 農学部, 助教授 (80263622)
|
Keywords | 耐塩性 / 根 / 活性酸素 / シアン耐性呼吸 / イネ |
Research Abstract |
塩ストレス条件におかれた植物では,発生した活性酸素により細胞障害を受けることが報告されている.塩ストレス下の根の機能維持はNa吸収抑制に重要とされるが,根の活性酸素障害から耐塩性を検討したものはない.また,塩ストレス下での活性酸素障害の回避には,活性酸素の消去系酵素群の強化が重要と指摘されているが,活性酸素の生成抑制については検討されていない.そこで本研究では,イネ根の活性酸素の生成と耐塩性との関係を品種間および耐塩性程度を変化させる処理間で調べるとともに,活性酸素の消去系酵素活性と,その生成抑制に関わると予想されるシアン耐性呼吸について調べた. 耐塩性程度の異なる5品種を用い,塩処理を行ったところ,根のH_2O_2生成量は,塩処理により低下する傾向にあったが,品種間差異は認められなかった.一方,O_2^-生成量には品種間差異があり,O_2^-生成量の多い品種では茎葉部Na含有率が高かった.SOD活性とAPX活性はいずれの品種においても塩処理により高まったが,耐塩性程度との間に一定の関係は認められなかった.また,耐塩性程度を高める各種処理を行った場合においてもH_2O_2生成量はNa含有率と一定の関係が認められなかったが,O_2^-生成量が高い処理区では茎葉部Na含有率も高かった.また,SOD活性と茎葉部Na含有率との間に一定の関係は認められず,これらの結果は品種間で比較した場合と一致した.そこで耐塩性を向上させるNa順化処理を行ったところ,SOD活性とシアン耐性呼吸の割合および速度が高まった.シアン耐性呼吸速度の増大は,活性酸素の生成抑制に関わると考えられることから,耐塩性の向上にも関与すると考えられた.以上より,イネの耐塩性程度には根のO_2^-生成量が密接に関係しており,その消去酵素活性ならびにシアン耐性呼吸の増大は,両塩性向上に貢献すると考えられた.
|