2004 Fiscal Year Annual Research Report
耕地環境におけるイネの雑草化機構の生態遺伝学的解析
Project/Area Number |
16780010
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
牛木 純 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 中央農業総合研究センター・耕地環境部, 主任研究官 (40307682)
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Keywords | 雑草イネ / 水稲直播栽培 / 日本型 / インド型 / Oryza sativa / 生存戦略 / 発生分布 / 擬態 |
Research Abstract |
1.水稲乾田直播栽培が行われている岡山県のH地区において発生した雑草イネ23系統について,ふ毛長,フェノール反応,KC董03反応から日本型・インド型を判別した結果,8地区では日本型(14系統),1地区ではインド型(2系統),2地区では両型(日本型4系統,インド型3系統)の雑草イネが発生していた.さらに.これらの雑草イネの稈長到穂日数,穂首抽出長,籾長幅比の4形質から,クラスター分析を行った結果,いずれかの形質に顕著な特徴をもつ9つのタイプに分けられた.日本型雑草イネの多くは,発生した圃場に作付けきれていた栽培イネ(アケボノおよび雄町)に稈長,出穂日など多くの形質が似ていたが(タイプ1および3),アケボノよりも稈長が約15cm短い系統(タイプ2)や出穂日がアケボノよりも2または3週間早い系統(タイプ5および6)なども存在した.一方,インド型の雑草イネは,発生した圃場に作付けされていた栽培イネとは形態が著しく異なり,アケボノよりも稈長が約30c斑長い系統(タイプ7),あるいは約50c田短い系統(タイプ9)が存在した.これらの雑草イネのタイプを発生地区に対応させると.日本型雑草イネは20km以上離れた地区に発生していたが,インド型雑草イネは半径3km以内のごく限られた地区に発生していた. 2.長野県の現地調査では、主に水稲湛水直播栽培を行う地域で、雑草イネの発生圃場の増加が確認された。長野県の雑草イネの発生は,過去30年間で約30km離れた地域へ拡大した.また近年発生する雑草イネは.1970年代よりも稈長が短く、出穂が早く、休眠が深いタイプが優占していた。出穂時の手取り除草が最も一般的な雑草イネの防除方法であったことから、上記の形質め変化は除草のより困難な特性を持つ雑草イネが選抜された結果であると考えられた。
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