2004 Fiscal Year Annual Research Report
団地再生に向けた緑環境を基調としたランドスケープ・リノベーションに関する研究
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16780016
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
加我 宏之 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (00326282)
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Keywords | 集合住宅団地 / 緑被率 / サインマップ法 / 建替団地 / 保存樹木 / 移植樹木 / 新規樹木 / 樹木成長 |
Research Abstract |
昭和30から40年代に建設され、ある一定の規模を有する集合住宅団地を対象とした樹木成長に関する基礎調査では、建設後約30年が経過した時点での緑被率の計測を行った。その結果、敷地面積に対する緑被率が40%以上となる団地が多く、中には50%を超える集合住宅団地があることも明らかとなった。従って、団地周辺に戸建住宅が連担する市街地において大規模集合住宅団地は、緑量の提供、また、大きく豊かに成長した樹木の樹冠が覆う快適な屋外空間の提供において、大規模集合住宅団地がある一定の公益的機能を発揮しているものと考えられる。 建設後約30年が経過し、従前の団地の屋外空間に大きく豊かに成長した樹木を有し、保存樹木や移植樹木を多く有する建替集合住宅団地を対象に、建替前と後の団地の屋外空間の中での好きな樹木や好きな場所に関するサインマップ法を用いたヒアリング調査を居住者に対して実施し、調査対象団地の屋外空間や樹木に対する接触行動を探った。その結果、建替前の団地空間には樹木とともに居住者に好まれていた場所が多様に存在し、それらの分布が敷地全体に広がっており、長い時間経過の中で居住者の団地空間に対する愛着感が団地全体に広がっていたことが明らかとなった。場所に対する評価では建替後に居住者に好まれる場所が中央広場に限定され、建替前まで培われてきた団地空間に対する愛着感の広がりが継承されていないといった課題も見出せた。樹木については、建替前から多く存在していたソメイヨシノに見られるように団地のイメージを規定する樹木、樹形が特徴的で独立木のフェニックスやホーキポプラは、建替前かち居住者に好まれており、こうした居住者が好む樹木を建替後に現地保存することで感覚や視覚のみならず建替前の情景を懐かしむといった記憶の継承も達成されやすいこと。加えて、移植樹木や新規樹木では居住者に好まれる樹木が少ないものの保存樹木と同種のサクラ類やフェニックスが居住者に好まれ、建替時の樹木選定に際して保存樹木のイメージを継承しながら移植樹木や新規樹木を選定することも効果的であることが明らかとなった。
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