2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物の自己細胞死の制御による植物細菌病の防除への展望
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16780031
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
木場 章範 高知大学, 農学部, 助教授 (50343314)
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Keywords | Pseudomonas cichorii / Pseudomonas syringae / 自己細胞 / 発病機構 / 防御応答 / アポトーシス / Ralstonia solanacearum |
Research Abstract |
植物の病原体に対する防御応答、あるいは発病過程における自己細胞死の役割について解析することを目的に、Pseudomonas cichorii、Pseudomonas syringaeとレタス、ナス、および非宿主植物のタバコを用いた解析を行った。植物としてレタスを用いた解析から、Pseudomonas cichoriiによる腐敗病、Pseudomonas syringaeに対して示す防御応答の過敏感細胞死のいずれの過程にも、レタス細胞のアポトーシス様自己細胞死および非アポトーシス様自己細胞死の少なくとも2種類以上の細胞死の経路が関与していることが明らかとなった。さらに過敏感細胞死の誘導には、アポトーシスとは異なる非アポトーシス様自己細胞死が主要な役割を持つのに対し、腐敗病の発病過程には両細胞死がきわめて重要な役割を持つことが示唆された。アポトーシス様自己細胞死の誘導過程には腐敗病の発病、および過敏感細胞死に特異的なプロテアーゼやDnaseの関与が示唆され、防御応答あるいは罹病反応特異的な自己細胞死の経路が存在する可能性があきらかとなった。 また、植物としてナスを用いた解析から、Pseudomonas cichoriiによる褐斑細菌病、Pseudomonas syringaeに対して示す過敏感細胞死のいずれの過程にもアポトーシス様自己細胞死が関与することが示された。さらに、自己細胞死の誘導のおよび防御関連遺伝子の発現のタイミングを解析したところ、褐斑細菌病の発病と比較して、過敏感細胞死が誘導される際には、きわめて速やかな自己細胞死の誘導のおよび防御関連遺伝子の発現が認められた。すなわち、自己細胞死の誘導のおよび防御関連遺伝子の発現のタイミングがその後の発病あるいは抵抗反応の決定に重要であるものと考えられた。 現在までの解析から、植物の病原体に対する応答の中で、罹病化反応/抵抗反応の両極の反応がいずれも植物の自己細胞死によるものであることがあきらかとなった。今後、罹病化反応/抵抗反応における植物の自己細胞死の役割を解析を分子レベルで進めることにより、新たな病害防除法の確立のみならず、植物における自己細胞死の意義について新たな知見が得られるものと考えられる。 現在、Pseudomonas cichoriiとレタスを用いて行った解析の一部は著書として発表するとともに、1編は国際雑誌に投稿中であり、2編は投稿準備中である。Pseudomonas cichoriiとナスを用いて行った解析の一部に関して1編も投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)