2004 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚応答を利用したアブラムシの新防除技術開発に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
16780034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀 雅敏 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70372307)
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Keywords | アブラムシ / 嗅覚応答 / 寄主植物 / 香気 / 誘引 / 寄主選択 / オルファクトメーター / 電気生理学 |
Research Abstract |
代表的な狭食性アブラムシの一種であるネギアブラムシの寄主植物香気に対する嗅覚応答を線形通路付きオルファクトメーターで調査した。本種の寄主であることを確認した、ネギ、タマネギ、ニラ、チャイブの4種に対しての行動を調査した結果、ネギ、タマネギ、ニラには誘引されることが示されたが、チャイブには若干の誘引傾向は示すものの有意な誘引性は示さなかった。タマネギとニラの香気をアブラムシに選択させたところ、アブラムシはどちらか一方を選択することはなかったが、ネギとニラを選択させたところ、アブラムシはネギの方に若干多く誘引された。次に、上記4種の植物香気のヘッドスペース成分をSPME法により抽出し、GC-MSで分析した。分析の結果、ニラを除いたいずれの植物も、その主成分はdipropyl disulfideであることが判明し、次にtraps-1-propenyl propyl disulfideを多く含み、その他、dipropyl trisulfideの存在が確認された。タマネギとチャイブの香気成分の構成は類似しており、dipropyl trisulfideはわずかな量しか含有していなかったが、ネギ香気は比較的多くの量を含有していた。これら3種の植物の香気成分に対してニラの香気成分は異なり、その主成分はdiallyl disulfideであることが判明した。そこで、オルファクトメーターを用いた化合物の誘引性検定法の確立を試みた。予備試験の結果、これら香気成分は高い揮発性のために、検定時間中に消失する可能性が示されたため、流動パラフィンで所定濃度に希釈した試験物質を徐放剤(ビスコパール)に含浸させて供試する方法をとったところ、消失は認められず、dipropyl trisulfideの0.05%濃度処理において、弱いながらも有意な誘引性を示すことを確認した。
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