2004 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫囲食膜を標的とする環境負荷低減型農薬を開発するための基礎研究
Project/Area Number |
16780035
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
早川 徹 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (30313555)
|
Keywords | Bacillus thuringiensis / Cry toxin / Peritrophic membrane / Bombyx mori / N-acetylgalactosamine |
Research Abstract |
Cry1AaとCry1Acは構造が非常に類似しているにもかかわらず、カイコ(春嶺x鐘月)に対して全く異なる毒性を示す。Cry1Aaは4齢幼虫に対して強い毒性(LC_<50>=0.23μg/g diet)を示すが、Cry1Acはほとんど毒性を示さない(LC_<50>>734μg/g diet)。一方、Cry1AaとCry1Acは標的であるカイコ中腸刷子縁膜(BBM)タンパク質に対して同様の結合を示す。これらのことからカイコのCry1Ac抵抗性は受容体以外の原因で獲得されたと考えられる。 本研究ではCry1Aトキシンの殺虫機構の初期段階に関わる因子である囲食膜(PM)に注目して解析を進めた。拡散によるCry1AトキシンのPM透過率を測定した結果、強い毒性を示すCry1Aaの場合、PMを透過する量は時間と共にほぼ正比例に増加し、反応3時間までの透過率は約0.37μg/mm^2/hrと見積もられた。これはコントロールとして用いたBSA(66kDa)の0.38μg/mm^2/hrやCarbonic anhydrase(29kDa)の0.33μg/mm^2/hrと非常に類似しており、Cry1Aaは他のタンパク質と同様にPMを透過できることが考えられた。一方、毒性を示さないCry1Acの場合、初めの2時間はほとんど透過が見られず、3時間目から透過が観察された。このことからPMがCry1Acの透過を特異的に制御していることを示していた。Cry1AcのPM透過率は100mM GalNAcの添加によって上昇した。このことからPMによるCry1AcのトラップにPMタンパク質糖鎖に含まれるGalNAcが関与すると考えられた。
|
Research Products
(1 results)