2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
園田 昌司 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (00325127)
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Keywords | 殺虫剤抵抗性 / 合成ピレスロイド / ナトリウムチャネル遺伝子 / コナガ / insect growth regulator (IGR) / クロルフルアズロン |
Research Abstract |
著者はすでにコナガの合成ピレスロイド剤抵抗性にはナトリウムチャネル遺伝子の変異が関与していることを明らかしている(Tsukahara et al.,2003)。しかしながら、解析したナトリウムチャネル遺伝子は機能的に重要な領域に限られており、その他の領域の重要性については明らかとなっていなかった。そこで、本年度は、合成ピレスロイド剤抵抗性系統と感受性系統のナトリウムチャネル遺伝子の全塩基配列を決定し、新たな変異を見出す事を目的として、縮重プライマーを用いたPCRを行い、全長のクローニングを試みた。その結果、ナトリウムチャネル遺伝子のドメインIセグメント1からドメインIIセグメント6を網羅する領域の塩基配列を決定することができた。得られた塩基配列を両系統間で比較したところ、抵抗性系統ではドメインIII-IVリンカー領域とC末端領域において、アミノ酸置換を伴う変異が生じていることが明らかとなった。これらのアミノ酸置換は他の昆虫では報告がなく、合成ピレスロイド剤抵抗性に関与する新たな部位の発見である。しかしながら、本年度においては、当初の目的であったナトリウムチャネル遺伝子の全塩基配列を決定するにはいたらなかった。その理由はナトリウムチャネル遺伝子の3'末端領域がPCRでは増幅されないことであった。3'末端領域にはPCRによる増幅を阻害する強力な高次構造が存在しているのかもしれない。そこで、コナガのcDNAライブラリーを構築した。現在、構築したライブラリーを用いて、未決定となっているナトリウムチャネル遺伝子領域のスクリーニングを行っている段階である。また、次年度の研究計画となっている、コナガのIGR剤抵抗性の解析を行うために、insect growth resulator (IGR)の一種であるクロルフルアズロンを用いて感受性系統の選抜を開始した。
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