2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
園田 昌司 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (00325127)
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Keywords | 殺虫剤抵抗性 / 昆虫成育制御剤 / クロルフルアズロン / GST / コナガ |
Research Abstract |
昆虫の生活環のどこかを特異的に阻害してその成育を生理的に攪乱する薬剤を総称して昆虫成育制御剤(IGR)と呼ぶ。IGRのなかでもテフルベンズロン、ジフルベンズロン、クロルフルアズロンなどの薬剤は昆虫のキチン合成を阻害することが知られている。本年度は、コナガのクロルフルアズロン抵抗性の分子機構について解析を行った。これまでコナガのクロルフルアズロン抵抗性には、carboxyamidaseが関与していることが報告されてきた。ところが、様々なコナガ系統のPxGSTE遺伝子の発現をRNAレベルで調べたところ、クロルフルアズロンと合成ピレスロイドの一種であるパーメスリンに抵抗性を示す系統において、PxGSTE遺伝子の発現が高まっていることが明らかとなった。一方、合成ピレスロイド剤の一種であるフェンバレレートのみに抵抗性を示す系統ではそのような高発現は認められなかった。このことは、高いPxGSTE遺伝子発現はクロルフルアズロン抵抗性に関与している可能性を示唆している。そこで、ストックカルチャー(NS系統)をクロルフルアズロンで選抜し、クロルフルアズロン抵抗性(CFR)系統を確立した。選抜後14世代目のCFR系統はNS系統に比べて11倍のクロルフルアズロン抵抗性を示した。また、CFR系統はNS系統に比べて2.3-2.5倍高いGST活性を示した。CFR系統とNS系統のPxGSTE遺伝子の発現を比較したところ、CFR系統で高い遺伝子発現が認められた。以上の結果より、コナガのクロルフルアズロン抵抗性にはPxGSTE遺伝子が関与していることが示唆された。さらに、CFR系統における高いPxGSTE遺伝子の発現がどのような機構によって付与されているかについても検討した。可能性としては1)遺伝子増幅、2)転位因子の挿入、3)遺伝子の変異、4)cis-acting factorの変異、5)trans-acting factorの変異が考えられたが、一連の解析の結果、trans-acting factorの変異が関与していることが示唆された。
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