2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780037
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
徳田 岳 国立大学法人琉球大学, 遺伝子実験センター, 助手 (90322750)
|
Keywords | シロアリ / セルロース / セルラーゼ / ヘミセルロース / キシラン / キシラナーゼ / 後腸 / 共生 |
Research Abstract |
シロアリ類はこの地球上で最も効率よく木材を分解できる動物である。木材の主成分であるセルロースはβグルコースが直鎖状に重合した物質であるが、木材中でヘミセルロースと複合体を形成し(ホロセルロース)、難分解性のリグニンと結合している。従ってセルロースを効率よく分解してグルコースを得るために、リグニンとの橋渡しでもあるヘミセルロースを効率的に分解する仕組みがシロアリ類に存在するのではないかと考えた。そこで、本年度はヘミセルロースの主成分であるキシランを用い、このキシラン分解酵素(キシラナーゼ)の活性が強いシロアリは何か、またシロアリ消化管のどこにキシラン分解活性があるのかをセルロース分解活性と対比しながら検討した。 材料は、沖縄県で採集可能なシロアリのうち、食材性シロアリである5種を用いた。これらについてキシラナーゼ活性を検討したところ、全てのシロアリでキシランを分解できることが明らかとなった。キシラナーゼ活性は原生動物と共生するシロアリに強く、消化管の中でも特に後腸で最も強い分解活性が認められた。次いで、中腸にやや強い活性が認められたが、唾液腺や前腸ではあまり活性が認められなかった。原生動物を後腸に共生させているシロアリでは、セルロース分解活性も後腸に多く認められたことから、これらのシロアリでは原生動物が主要な木材分解の役割を担っていることが考えられた。今回調べられたシロアリの内、イエシロアリで最も強いキシラン分解活性が認められたことから、さらにこのシロアリについて消化管内におけるキシラナーゼ活性の分布を電気泳動と活性染色を組み合わせて検討した。その結果、分子量から少なくとも中腸では1種類、後腸では2種類のキシラナーゼの存在が示唆された。さらに詳細なシロアリ消化管内のキシラナーゼの性状を研究するために、現在、これまでの情報をもとにキシラナーゼの精製条件を検討中である。
|
Research Products
(1 results)