2004 Fiscal Year Annual Research Report
土着天敵利用による持続的コナカイガラムシ密度抑制技術の開発
Project/Area Number |
16780039
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
外山 晶敏 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 果樹研究所・生産環境部, 研究員 (30355391)
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Keywords | コナカイガラムシ / リサージェンス / 土着天敵 / 寄生蜂 / 捕食性天敵 / 生物的防除 |
Research Abstract |
関東および福岡、鳥取、広島県においてコナカイガラムシおよび天敵類の採集、調査を行った。この際、調査方法としてマジックテープに毛糸を絡ませたトラップ、コナカイガラを寄生させたカボチャあるいは鉢植え植物を暴露する方法等について検討を行った。採集されたコナカイガラムシのうち、フジコナカイガラ、クワコナカイガラ、ミカンヒメコナカイガラについては和カボチャおよび芽出しソラマメを代替餌に累代飼育系を確立した。また、本研究では天敵類の飼育および実験に大量のコナカイガラを必要とするため、各ステージを安定的に供給できるよう飼育システムを整備した。天敵類についてはクワコナカイガラヤドリバチ、フジコナカイガラクロバチ、フジコナカイガラヤドリトビコバチ、タマバエ1種について飼育系の確立を図るべく検討を行った。寄生蜂3種については定期的にコナカイガラ飼育容器に放飼し直すことにより簡便な累代飼育が可能であり、さらに芽出しソラマメに寄生させたコナカイガラを利用することにより繁殖および寄生特性について観察、実験が容易に行えるようになった。一方、タマバエについては大型アクリルケージを作成し、飼育を試みているが、交尾を行わない等の問題が残されており、累代化は今後の課題となっている。 フジコナカイガラの有力天敵であるフジコナカイガラクロバチとフジコナカイガラトビコバチの寄生特性について調べたところ、従来の指摘通り前者は1および2齢、後者は3齢および成虫への寄生が中心で寄主の使い分けがみられたが、野外においてはクロバチが優占し、発生パターンにも違いがみられるなど、コナカイガラ密度抑制における両種の相補的な効果については今後詳細に調べる必要が認められた。 タマバエ幼虫の採餌パターンについてコナカイガラ放飼樹上において観察したところ、本種は集中的に採餌を行う喰い尽くし型であることが示唆された。
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