2006 Fiscal Year Annual Research Report
土着天敵利用による持続的コナカイガラムシ密度抑制技術の開発
Project/Area Number |
16780039
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
外山 晶敏 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所果樹害虫研究チーム, 主任研究員 (30355391)
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Keywords | コナカイガラムシ / リサージェンス / 土着天敵 / 寄生蜂 / 捕食性天敵 / 生物的防除法 / 果樹 |
Research Abstract |
クワコナカイガラムシを放飼した鉢植えブドウ樹や卵嚢を付着させたファイトトラップなど5種のトラップをクワコナカイガラムシが低密度に維持されている殺虫剤無散布圃場に設置し、潜在的な天敵類の活動を調査した。8月以降、コナカイガラムシ多寄生ブドウ樹上ではクサカゲロウ類の卵、幼虫、成虫が頻繁に観察された。また、卵嚢付トラップではクマバエ類による捕食が確認され、これら捕食性天敵類の潜在性が明らかとなった。しかし、捕食性天敵類の活動はコナカイガラムシが集中的に分布している場所に偏る傾向があり、その移動能力と捕食量から即応性はあるものの、自然状況下ではコナカイガラムシ密度がある程度高くならないと機能しない可能性が考えられた。一方、クワコナカイガラヤドリバチによる寄生は7月から観察され、コナカイガラムシ分布密度が低い場所でも寄生が認められるなど、その活動は寄主の密度に依らない可能性が示された。 クワコナカイガラムシの各ステージについて移動性や定着場所に対する選好を実験的に調べた結果、餌の有無に関係なく、雄では蛹化、雌では産卵に際して狭小な空間へと移動し、定着する傾向が認められた。こうした狭小な空間への潜り込みは体サイズがより大きい捕食性天敵に対して回避機能があると推察された。一方、寄生蜂として最優占種であったクワコナカイガラヤドリバチはより体が小さく、潜り込みが有効に機能しない可能性が考えられたが、室内観察では狭小空間にいる寄主に対してはアプローチに有意に長い時間を要するなど、棲息環境の構造が被寄生率に影響する可能性も示された。 クワコナカイガラヤドリバチに寄生されたコナカイガラムシは、餌の有無に関係なく、狭小な空間に移動・定着する傾向が正常個体に比して強く認められた。こうした行動変化は捕食性天敵からの回避を目的とした寄生蜂による寄主の行動誘導の可能性もあり、今後更に検証が必要であると考えられた。
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