2006 Fiscal Year Annual Research Report
トマトの果実発達における維管束機能の特性と糖代謝・糖蓄積制御機構の解明
Project/Area Number |
16780044
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松倉 千昭 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 講師 (60361309)
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Keywords | トマト / 果実発達 / 糖蓄積ADP-glucose pyrophosphorylase / 糖転流 / ADP-glucose pyrophosphorylase / 糖蓄積変異体 / 遺伝子発現 / マイクロトム |
Research Abstract |
本研究課題では高糖度トマトの糖代謝・糖蓄積メカニズム解明を目的として解析を進め,以下の成果を得た. 1.レーザーマイクロダイセクション(LMD)法によるトマト果実維管束摘出実験系の確立 果実維管束を標的とした機能解析はこれまで報告が少なくその機能については不明な点が多い。本研究ではLMD法による果実維管束の単離とRT-PCR増幅が可能な品質のmRNA抽出手法を確立した.これらの実験系は今後果実維管束の機能解明における強力なツールとなることが期待される. 2.トマトの果実発達過程における糖転流・蓄積の動態解析 塩類ストレス処理果実における糖代謝・糖蓄積メカニズムについて解析を進め,1)果実への炭素転流は緑熟期迄には概ね完了しており,赤熟期の糖度には果実発達前期のデンプン蓄積が重要である 2)塩ストレス処理によりデンプン生合成の律速酵素であるADP-glucose pyrophosphorylase(AGPase)活性ならびに当該酵素をコードするagpBおよびagpL1遺伝子の発現が特異的に上昇する 4)塩ストレス処理により葉から果実への炭素転流が顕著に促進されることを明らかにした.2)についてはagpL1遺伝子の発現がデンプン蓄積や酵素活性のプロファイルに合致し,且つ発現量もagpBと比較して顕著に低いことから当該遺伝子発現がAGPase酵素活性の律速因子である可能性が高い。本研究で得られた結果はAGPase発現が果実シンク強度に少なからず影響し,且つ果実発達初期の糖転流-デンプン蓄積が赤熟果実の糖含量を決定する主要因であることを示唆している. 3.トマトにおける糖蓄積変異体の単離 種子ヘガンマ線300Gyを照射しM_2世代6,335個体において糖蓄積に注目して変異体選抜を行った.その結果,高糖含量10系統,低糖含量1系統の糖含量突然変異体を獲得した.
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