2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780048
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
樋口 恭子 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (60339091)
|
Keywords | イネ科 / 鉄 / 再移行 / 利用効率 / 59Fe / クロロシス |
Research Abstract |
前年度までに我々は、イネは下位葉の鉄含有率が高く鉄欠乏になると下位葉は緑色を維持したまま上位葉が顕著なクロロシスを示すこと、オオムギの鉄含有率はどの葉位でも同レベルで長期間鉄欠乏になると下位葉を枯死させ上位葉のクロロシスを回復させること、を明らかにした。またイネとオオムギのこの違いはムギネ酸分泌量や鉄含有率の大小とは無関係であることを示した。これらのことから、(1)オオムギは植物体内で再移行しにくいといわれている鉄を下位葉から上位葉へ再移行させているのではないか、(2)オオムギは細胞内や組織内の鉄をより低濃度で効率よく利用できるのではないか、という仮説が導き出された。そこで今年度は(1)を検証するため放射性同位体である59Feを用いて下位葉から上位葉への鉄の再移行を定量的に解析した。その結果、下位葉から上位葉に移行する鉄の割合はイネよりオオムギの方が大きく、それは鉄が十分でも鉄欠乏でも同様であることが分かった。次に(2)について、鉄の貯蔵タンパク質であり鉄過剰で発現が誘導されるファイトフェリチンのmRNAの挙動をイネとオオムギで比較した。鉄過剰、鉄十分、鉄欠乏、いずれの場合も下位葉においてオオムギの方がイネよりもフェリチン発現量が多く、特に鉄十分の場合にオオムギのフェリチン発現量が多かった。しかし今年度はノーザンハイブリダイゼーションで発現量を半定量的に評価したので、次年度は定量RT-PCRにより、鉄含有率やクロロフィル量とフェリチン発現量の相関を検討する予定である。
|