2004 Fiscal Year Annual Research Report
溶存有機物の黒ぼく土への収着に関する研究-土地利用が及ぼす影響-
Project/Area Number |
16780049
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川東 正幸 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (60297794)
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Keywords | 溶存有機物 / 疎水性画分 / 親水性画分 / 黒ぼく土 / 収着 / 物質循環 / 炭素貯留 / リター |
Research Abstract |
種々の土壌において、リター層で生成された溶存有機物の動態は土壌生態系における炭素・窒素を中心とした元素循環に強く影響する。黒ぼく土では火山灰を母材として生成した二次鉱物の有機物に対する吸着活性が強いためにリター層から供給される溶存有機物の大部分は土壌固相に保持されると考えられる。一方で、土地利用形態の違いはリター層の構成有機物および集積形態に影響を与えることから、生成される溶存有機物の量・性質にも影響を及ぼすことが予測される。本研究では異なる土地利用下の黒ぼく土における溶存有機物の収着特性から土地利用別に炭素のフラックスを予測し、土地利用との関係を考察することを目的とした。まず、平成16年度は針葉樹であるスギ林と広葉樹であるコナラ林において、溶存有機物の収着特性の相違を比較検討した。 両林地のリター層から得た溶存有機物は炭素濃度だけでなくその組成においても顕著な違いを示した。炭素濃度はスギ林およびコナラ林でそれぞれ28と24gL^<-1>を示し、スギ林下のリターで炭素濃度が高かった。吸着クロマトグラフィーを用いた、疎水性画分の割合はスギ林とコナラ林でそれぞれ67と49%となり、スギ林下のリターで疎水性画分の割合が高かった。土壌に吸着される炭素量はいずれの土壌においてもA層よりもB層で高く、特に疎水性画分はその大部分が吸着された。A層土壌でも疎水性画分の吸着が強かったが、同時に親水性画分の溶出が多かった。特にコナラ林下の土壌で高い割合の親水性画分の溶出が認められた。このことから、A層土壌では疎水性画分による親水性画分の置換溶出が起きていると考えられ、広葉樹、針葉樹を問わずリターから溶出した疎水性画分が優先的に無機鉱物表面に集積するものと考えられた。
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