2004 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス調節因子チオレドキシンのアルコール発酵における機能と輸送機構の解析
Project/Area Number |
16780055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井沢 真吾 京都大学, 農学研究科, 助手 (10273517)
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Keywords | アルコール発酵 / ストレス / 出芽酵母 / ワイン醸造 / 清酒醸造 |
Research Abstract |
【アルコール脱水素酵素とチオレドキシンとの相互作用機構に関する解析】 出芽酵母のアルコール脱水素酵素(ADH)がチオレドキシン標的タンパク質の一つであり、両者が相互作用する事を確認した。さらに、ADHアイソザイム(ADH1-3,ADH5)に共通するシステインに富んだモチーフ-CMXCEYCEXGNESNC-がチオレドキシンとの相互作用部位と予想された。そこで、ADH1をベースに、モチーフ中の4つのシステイン残基を置換した組み換え体を構築し、チオレドキシンとの相互作用を検討した。解析を通じ、チオレドキシンとの相互作用に関与するADH中のシステイン残基の特定を行っている。 また、上記の各ADH1システイン残基置換体の酸化還元電位を測定することにより、どのシステイン残基がもっとも酸化的修飾を受け易いかを解明に取り組んだ。さらに、AMS(4-acetamido-4'maleimidylstilbene-2,2'-disulfonic acid)によるチオール基のアルキル化と電気泳動を組み合わせた解析手法などin vitroの系で、酸化的条件下やチオレドキシン欠損株でのADHシステイン残基の酸化的修飾状態を明らかにする解析を進めている。両者の結果を踏まえた上で、ワインおよび清酒醸造過程などの低酸素条件下でも生じるADHの酸化的修飾を観察した。さらに、発酵の進行による、ADH活性の変化や、それに関連したチオレドキシンによるレドックス制御の作用機序について考察した。 また、チオレドキシン欠損の核膜への影響を検討するとともに、酒類醸造過程における酵母細胞内の核-細胞質間物質輸送への影響を検討した。
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