2004 Fiscal Year Annual Research Report
酵母のメタノール誘導性遺伝子発現に関わる転写因子の取得と情報伝達経路の解明
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16780056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
由里本 博也 京都大学, 農学研究科, 助手 (00283648)
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Keywords | メタノール資化性酵母 / アルコールオキシダーゼ / ジヒドロキシアセトンシンターゼ / メタノール誘導性遺伝子発現 / 転写因子 / プロモーター / Candida boidinii / Pichia pastoris |
Research Abstract |
メタノール資化性酵母Candida boidiniiのメタノール培養初期段階では、アルコールオキシダーゼ遺伝子(AOD1)の発現に先行してジヒドロキシアセトンシンターゼ遺伝子(DAS1)が強力に発現する。これはメタノール酸化により生じるホルムアルデヒドの細胞内レベルを最適化するための巧妙な遺伝子発現機構である。DAS1のAOD1に対する先行誘導の生理学的重要性を明らかにするため、それぞれのプロモーターとORFを組み換えた株を作製し、メタノール生育やホルムアルデヒド蓄積量に及ぼす影響を調べた。その結果、変異株ではホルムアルデヒドが蓄積し、メタノールに生育することができなかった。このことから、DAS1による強力なDASの発現とAODに対するDASの先行誘導が、メタノール生育に重要であることが明らかとなった。 DAS1のプロモーターに見出されたメタノール応答領域に特異的に結合するタンパク質の精製を試みた。メタノール誘導菌体より各抽出液を調製し、アフィニティークロマトグラフィーなど種々の方法で当該タンパク質の精製を行ったが、単一タンパク質を精製するには至らなかった。今後も種々の条件を検討し、転写因子の精製を行う。 gene-tagging法により、メタノール誘導性を失った変異株を多数取得した。変異原因遺伝子を解析し、これまでにいくつかのZRM遺伝子(Transcriptional Regulator of Methanol Induction)を取得した。その遺伝子破壊株の生育特性やメタノール誘導性を検証したところ、これらの遺伝子がメタノール生育に必須であり、かつメタノール誘導性遺伝子発現に関与していることが明らかとなった。
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