2004 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌におけるフェニルアラニンアナログが引き起こすチューブリン関与の形態異常
Project/Area Number |
16780062
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤田 憲一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10285281)
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Keywords | L-2,5-dihydrophenylalanine / Aspergillus nidulans / microtubule / tubulin / morphological change / Saccharomyces cerevisiae |
Research Abstract |
糸状菌の形態形成に重要な役割を果たしている細胞骨格の微小管に焦点を当てて、フェニルアラニンアナログL-2,5-dihydrophenylalanine(DHPA)による菌糸の形態異常誘導機構の解明を試みている。DHPAはAspergillus nidulansの野生株に菌糸先端の過剰な分岐を誘導し、その際、微小管やαおよびβチューブリンの消失を引き起こす。加えて、DHPAはA.nidulansのβチューブリン変異株benA33の温度感受性を回復させる。DHPAのような生理活性を示す物質を検索した結果、3つのフェニルアラニンの誘導体N-tosyl-L-phenylalanine chloromethylketone(TPCK), N-carbobenzoxy-L-phenylalanine chloromethyl ketone(ZPCK)およびarphamenine Aが得られた。このうち、TPCKとZPCKはDHPAと同じように細胞質微小管とチューブリン自身の消失を引き起こすことがわかった。従って、DHPAが示す活性は、ある種のフェニルアラニン誘導体に共通の性質であることが示唆された。また、DHPAによって高温下での生育が回復したbenA33株ではチューブリンの消失は見られなかった。さらに、DHPAは他の微小管阻害剤と違い、チューブリンに親和性を示さないことがわかった。これはDHPAが既知の微小管阻害剤と異なる作用機構を持つことを支持している。一方、DHPAは出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいてチューブリンの細胞内レベルを低下させることがわかったが、その際、微小管の分布や丸い酵母型の細胞の形態には影響を与えなかった。DHPAによって細胞の形態が異常になるにはチューブリンの完全な消失がもたらす微小管の構造の破壊が必要であると思われる。
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