2005 Fiscal Year Annual Research Report
クラスIIaバクテリオシンに対する耐性変異の同定及び耐性発現メカニズムの解明
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16780065
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Research Institution | National Food Research Institute |
Principal Investigator |
島 純 独立行政法人食品総合研究所, 応用微生物部, 主任研究官 (00343822)
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Keywords | 乳酸菌 / バクテリオシン / バイオプリザベーション / 耐性変異株 / クローニング / 遺伝子ライブラリー / 抗菌物質 / ペプチド |
Research Abstract |
Lactobacillus属乳酸菌やEnterococcus属乳酸菌の生産するバクテリオシンはListeria moncytogenes等のグラム陽性病原性細菌に対して優れた抗菌活性を有することから、バイオプレザバティブとしての活用が期待されている。その中でも、クラスIIaに属するバクテリオシンが耐熱性などの観点から実用性が高いと考えられている。しかし、抗菌物質の使用は耐性変異株の出現を生む可能性があり、バクテリオシンの実用化を図るためには、耐性変異の遺伝学的背景と耐性メカニズムの分子生物学を理解することが重要である。そこで、本研究では、クラスIIaバクテリオシン耐性変異の同定及び耐性発現メカニズムの解明を目的として研究を行った。 クラスIIaバクテリオシンの一種であるムンジチシンに対するEnterococcus faeciumの耐性変異株が有する耐性変異を相補する遺伝子のクローニングを試みた。野生型株より単離した全DNAを制限酵素により部分分解し、大腸菌-乳酸菌のシャトルベクターであるpRH100に連結した。その後、大腸菌を形質転換して遺伝子ライブラリーを構築した。得られた遺伝子ライブラリーを用いて、耐性変異株(Mun^rS)を形質転換した。形質転換体をムンジチシン含有MRS培地にレプリカすることにより、耐性変異を消失した形質転換体を選択した。得られた形質転換体からプラスミドを抽出し、クローニングされたDNA断片について塩基配列の解析を行った。その結果、2種のDNA断片が耐性変異を相補することが明かになった。1つのDNA断片には、転写因子であるσ54をコードすると推定されるrpoN遺伝子が存在していた。野生株のrpoN遺伝子の遺伝子破壊を行ったところ、rpoN遺伝子破壊株はムンジチシン耐性を示した。以上のことから、rpoN遺伝子がムンジチシン耐性に強く関与している可能性が示唆された。
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