2004 Fiscal Year Annual Research Report
tRNA切断酵素を用いた動物細胞tRNAのノックダウンに対する細胞応答の解析
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16780068
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 哲弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40323480)
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Keywords | tRNA / ribonuclease / mammalian cell |
Research Abstract |
(1)細胞内でコリシンE5,Dを誘導的に発現する動物細胞株の樹立 動物細胞tRNAの異常に対する細胞応答性を調べるために、tRNA特異的RNaseであるコリシンE5,DのC末端活性ドメイン(E5-CRD, D-CRD)を細胞内で発現する安定細胞株の樹立が必要と考えられた。そこで、クロンテック社で販売しているHeLa Tet-Off細胞をベースに、テトラサイクリン応答因子(TRE)によりE5-CRD, D-CRDの発現を制御する安定株の作製を行った。まず、E5-CRD, D-CRDそれぞれに対するインヒビターであるImmE5,ImmDを、細胞内で恒常的に低発現する安定株を作製することによりE5-CRD, D-CRDの発現抑制時のリークに備えた。この安定株に、更にTREの下流にE5-CRDもしくはD-CRDをコードする遺伝子をつなげたプラスミド(TRE-E5,TRE-D)を導入し、安定株の取得を行った。得られたクローンをドキシサイクリン存在下、非存在下で培養することによりE5-CRD, D-CRDの発現の有無による生育の変化を観察したが、生育に違いの見られるクローンは存在しなかった。平行して行っていた実験結果から、E5-CRD, D-CRDの細胞毒性が当初の予想ほど高くないことが示唆されたため、インヒビターの低発現を止め、新たにHeLa Tet-Off細胞に対してTRE-E5,TRE-Dのみを導入し、安定株を作製した。現在、得られた全てのクローンに対して発現のチェックを行っている。 (2)コリシンE5,Dの発現に対する細胞応答の解析 HeLa細胞よりtotal tRNAを調製し、精製したE5-CRD, D-CRDと反応させた後、電機泳動により確認した。その結果、tRNAの切断断片と思われるバンドが見られた。E5-CRDは、酵素濃度の上昇によりアンチコドン以外も切断することに対し、D-CRDは一番濃い濃度でtRNAに作用させてもアンチコドン以外での切断は起こらなかった。次に、ノザン解析により切断されたtRNAの特定を行った。その結果、E5-CRDは少なくともtRNA^<His>, tRNA^<Asn>, tRNA^<Asp>を、D-CRDはtRNA^<Arg> ICGを切断することが分かった。
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