2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊原 さよ子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80292788)
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Keywords | SWAP-70 / シグナル伝達 / 癌 |
Research Abstract |
細胞の癌化の過程には細胞の基質との接着および細胞同士の接着性の低下、運動性の増加などが観察され、それらの形質の獲得には細胞骨格の制御に関わる分子群が大きな役割をはたしていることが明らかになっている。我々は、これまでにSWAP-70というタンパク質が細胞骨格系の調節を通じて細胞の運動能を促進させるという事実を明らかにした。また、この分子を細胞に過剰発現させると、細胞の接着能が低下している様子が観察されていることから、この分子も癌化の過程に重要な役割を果たしている可能性が考えられ、実際にSWAP-70を欠失した細胞においては癌遺伝子、v-srcによる形質転換が抑制されることをin vitroの実験により明らかにした。そこで今年度は、さらにin vivoにおけるSWAP-70の癌化における役割を検討した。SWAP-70を欠失したバックグランドをもつv-srcによる形質転換細胞をヌードマウスに皮下注射した際の腫瘍形成の様子をSWAP-70を欠失していないバックグランドをもつ細胞を導入した場合と比較した。その結果、SWAP-70を欠失したものを導入したマウスにおいては形成される腫瘍が小さく、SWAP-70の欠失によって腫瘍形成能が部分的に抑制されていることが示唆された。SWAP-70はin vivo, in vitroにおいて、v-srcにより誘導される癌化シグナルの一部を担っているものと考えられる。
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