2004 Fiscal Year Annual Research Report
タバコにおけるフェノール性異物の配糖化・マロニル化と解毒・蓄積機構の解析
Project/Area Number |
16780070
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田口 悟朗 信州大学, 繊維学部, 講師 (70252070)
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Keywords | タバコ植物 / マロニル化 / 配糖化 / フェノール性化合物 / RNAi / 異物代謝 |
Research Abstract |
タバコ細胞では、異物であるナフトールがマロニルグルコシドとして蓄積される。この応答を植物におけるフェノール性異物の代謝のモデルと考え、その代謝にかかわる酵素の検討を行った。これまでの研究で、この反応のうち配糖化はその候補遺伝子の詳細な解析を行っていたが、マロニル化はほとんど判明していなかった。そこて、本研究では、まず、新規に単離したアシル化酵素遺伝子(NtMaT1)について、大腸菌発現酵素を用いてその詳細な反応性を検討した。その結果、この酵素はナフトールのみならず、植物では広く存在するフラボノイドの配糖体に対しても強い活性を示すことが明らかとなった。 そこで、RNAi法により配糖化酵素及びマロニル化酵素の発現をそれぞれ抑制したタバコ培養細胞を作出し、この組換え細胞と野生株細胞とにおけるナフトールの代謝を比較した。その結果、NtMaT1の発現を抑制した細胞では、マロニル化酵素活性が顕著に抑制され、それに伴いナフトールなどのフェノール性異物のマロニル化も観察されなくなった。このことは、今回単離したNtMaT1の産物がタバコにおけるこれらマロニル化を担っていることを示している。一方、配糖化酵素NtGT1及びNtGT3の発現をそれぞれ抑制した細胞では、顕著な配糖化活性の減少は認められなかった。しかし、NtGT3抑制細胞においてのみ、投与したナフトールの配糖化に影響が認められた。このことは、NtGT3がタバコにおけるナフトールなどフェノール性異物の代謝に関与している可能性を示唆するものであった。 現在、計画通りにRNAi法による遺伝子発現抑制タバコ植物を作成し、第一世代の種子を得たので、今後、これらを用いた物質蓄積機構の解明を行う予定である。
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