2005 Fiscal Year Annual Research Report
冬虫夏草の抗腫瘍性グルカンと免疫細胞グルカン受容体の相互作用と遺伝子構造の解析
Project/Area Number |
16780076
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
氏田 稔 名城大学, 農学部, 講師 (50340295)
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Keywords | グルカン / 合成酵素 / 受容体 / 遺伝子クローニング / 組換えタンパク質 / 無細胞系 / 触媒サブユニット / 調節サブユニット |
Research Abstract |
本科学研究費補助金により購入したin vitro大量タンパク質発現装置(RTSプロテオマスター)を使用して無細胞系において組換えβ-グルカン受容体(GST-human dectin-1)を合成し,その精製に成功した。この組換えタンパク質の結合活性をゲル結合アッセイにより解析した結果,β-グルカンの一種であるリケナンには結合するが,他の多糖には結合しないことが明らかとなった。GSTにはリケナン結合能はなかった。また,GST-human decine-1のリケナンへの結合はβ-グルカンによって阻害されたが,α-グルカンによっては阻害されなかった。さらにグルコースオリゴマーによる阻害実験を繰り返し,本β-グルカン受容体のβ-グルカン結合特異性を決定した。 サナギタケ(Cordyceps militaris)のβ-1,3-グルカン合成酵素のcDNAクローニングに成功し,触媒サブユニット遺伝子(FKS1)と調節サブユニット遺伝子(RHO1)の全塩基配列を決定した。続いて,上記と同様に無細胞系において組換えβ-1,3-グルカン合成酵素触媒サブユニット(GST-Fks1p)を合成し,その精製に成功した。この組換えタンパク質の結合活性をゲル結合アッセイにより解析した結果,受容体基質に類似した構造を持つβ-グルカンには結合するが,他の多糖には結合しないことが明らかとなった。また,供与体基質の一部であるUDPには結合するが,GDPには結合しないことも明らかとなった。このように膜タンパク質として存在する多糖合成酵素を可溶性の組換えタンパク質として機能を持った状態で発現させた例はこれまでになく,組換え多糖合成酵素を利用した多糖の人工合成が可能であると考えられた。
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