2004 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナSnRK2プロテインキナーゼを介した環境ストレス応答の機能解析
Project/Area Number |
16780078
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 理一郎 独立行政法人理化学研究所, 植物変異開発研究チーム, 研究員 (70301786)
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Keywords | アブシジン酸 / シグナル伝達 / プロテインキンナーゼ / SnRK2 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究は、植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)および浸透圧ストレスにより特異的に活性化される、シロイヌナズナSnRK2プロテインキナーゼ遺伝子の機能を明らかにし、そのシグナル伝達機構の解明を目的としている。申請者は、シロイヌナズナゲノムに10個存在するSnRK2(SRK2A〜SRK2J)の中でSRK2Eに注目し、機能破壊変異体等を用いた解析からSRK2EがABAによる葉の気孔の閉鎖に強く関わることを明らかにした。本年度は、SRK2Eの活性化に関わる背景について詳細な検討を行なった。SnRK2は、キナーゼドメインの他に特徴的な構造をもった調節ドメインは見つからない。そこで、SRK2EのNおよびC末端を欠いたコンストラクトをシロイヌナズナT87培養細胞に導入し、その活性化における影響を検討した。SRK2Eは、ABAの他に浸透圧ストレスでも活性化されるが、そのC末端の319〜357アミノ酸配列を欠いたSRK2Eでは、浸透圧ストレスでは正常な活性化を示すが、ABAによる活性化が顕著に抑制された。また、ABA非感受性変異体(abi1-1,abi2-1)におけるSRK2Eの活性化を検討したところ、abi1-1においてABA依存的な活性化のみが強く抑えられた。しかしながら、浸透圧ストレス依存的な活性化は正常であった。ABAによる活性化に重要と推測されたC末端(319〜357)を欠いたSRK2Eは、その機能破壊変異体srk2eにおける乾燥感受性の表現型を相補しなかった。このことは、ABAによるSRK2Eの活性化が乾燥時の孔辺細胞の閉鎖に必要であることを示唆している。また、SRK2EはABI1と強く結合することが酵母を用いた解析から明らかにされ、また、その結合部位はABA応答に必要なC末端(319〜357)であった。
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