2004 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌線状プラスミド上の二次代謝遺伝子群における特異な生合成変換機構の解析
Project/Area Number |
16780085
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
荒川 賢治 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (80346527)
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Keywords | 抗生物質 / 生合成 / 放線菌 / ポリケチド / 大員環形成反応 / ランカサイジン |
Research Abstract |
放線菌Streptomyces rochei 7434AN4株のもつ線状プラスミドpSLA2-Lには17員環化合物ランカサイジンおよび14員環マクロライド化合物ランカマイシンの両抗生物質生合成遺伝子群が存在している。特にランカサイジンは炭素-炭素結合による17員環構造を有しており、従来の大環状ポリケチド化合物で考えられているカルボン酸と水酸基間の脱水縮合ではない、特異な大環状形成反応が生じていると考えられる。またランカサイジンの化学構造から類推すると、アミンの酸化反応が環化の鍵反応と考えられた。そこでランカサイジン生合成遺伝子クラスターに存在する2つの酸化還元酵素に注目し、遺伝子破壊株の構築を試みた。まずピロロキノリンキノンを補酵素とした脱水素酵素と高い相同性を有するOrf23に注目し、その遺伝子orf23の破壊株を構築した。しかしながらこの遺伝子破壊株はランカサイジンを生産しており、Orf23はランカサイジン生合成に関与していないことが分かった。次にフラビンを補酵素としたアミンオキシダーゼと高い相同性を有するLkcEに注目し、その遺伝子IkcEの破壊株を構築した。この破壊株(KA05株)はランカサイジンを生産せず、新たな化合物を生産していた。得られた化合物LC-KA05について構造解析を行ったところ、ランカサイジノールAのC-2,18位間の炭素-炭素結合が失われた、線状中間体であった。また取り込み実験により、化合物LC-KA05は生合成中間体であることも明らかにした。以上、ランカサイジンの特異な大員環形成反応は、LkcEによって生じるN-アシルイミニウム中間体へのβ-ケトエステルの求核反応により行われる可能性を見いだすことが出来た。
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Research Products
(2 results)