2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780087
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋山 康紀 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (20285307)
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / ミヤコグサ / 共生 / Gigaspora margarita / 樹枝状体 / 菌糸分岐 |
Research Abstract |
アーバスキュラー菌根菌(AMF)はその生活環において宿主植物との共生を必須とする絶対共生菌である。本菌の菌糸は宿主植物の根の近傍に達すると,先端が細かく分岐する形態分化(hyphal branching)を起こす。その後,付着器を形成して根の表面に張り付き,根の内部に侵入する。AMFは皮層細胞において本菌の最大の形態的特徴である樹枝状体を形成する。樹枝状体は宿主植物との栄養交換を行う場と考えられており,菌糸が樹木の枝のように細かく分岐した構造を有している。本研究では,植物二次代謝産物にAMF生活環に見られる特異的な形態分化,特に樹枝状体の形成を誘導するような活性を有する物質を求め,研究を行うこととした。これまでに研究代表者はAMFであるGigaspora margaritaの菌糸の形態観察に適したin vitro系での無菌培養法の確立に成功している。研究代表者がこれまでにAM共生時に増減を示す二次代謝産物としてキュウリ・メロンやミヤコグサから単離したトリテルペノイド,フラボノイド配糖体はすべて菌糸の生育を促進・阻害せず,また菌糸分岐も誘導しないことが分かっている。本年度の研究においてミヤコグサ,ニンジン,ソルガムなどの水耕液より調製した根分泌物の酢酸エチル抽出画分に強い菌糸分岐誘導活性が見られた。活性は根抽出物の減圧蒸留画分にも見られたことから根内にも活性物質が存在するものと考えられ,これが樹枝状体形成に関わっている可能性があることが示唆された。ジベレリンを根に与えたり,葉面に散布したりすると樹枝状体の形成が顕著に阻害されていることが分かっているので,来年度はジベレリン処理した植物から根分泌物および根抽出物を調製し,それらの菌糸分岐誘導活性について調べると共に,根内環境に近い大気条件下でAMFがどのような菌糸分岐形態を示すのかを調べる予定である。
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