2004 Fiscal Year Annual Research Report
潜在的亜鉛欠乏における摂食調節異常の発症機構に関する研究
Project/Area Number |
16780090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大日向 耕作 京都大学, 農学研究科, 講師 (00361147)
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Keywords | 亜鉛欠乏 / 摂食異常 / 摂食調節ペプチド / 視床下部 / Neuropeptide Y (NPY) / CRH |
Research Abstract |
亜鉛は多くの亜鉛酵素の活性中心として多様な生理作用を触媒、調節する必須微量元素である。潜在的亜鉛欠乏は日本人に比較的多く認められ、神経性食欲不振症の患者に対して亜鉛補給療法が有効であることが報告されている。しかしながら、亜鉛欠乏による摂食抑制機構の詳細は明らかではない。そこで、本研究では、亜鉛欠乏ラットの視床下部における摂食調節ペプチドの遺伝子発現変化に注目し、摂食調節における亜鉛の役割について検討した。 実験動物として雄性SDラット4週齢を用い、亜鉛欠乏食を与えた亜鉛欠乏群(ZnD群)、亜鉛添加食を自由摂取させた亜鉛添加群(ZnS群)、亜鉛欠乏群と等量の亜鉛添加食を与えたペアフェッドコントロール群(PF群)の3群を設けた。経時的に解剖した後に、視床下部からTotal RNAを抽出して、逆転写反応によりcDNAを調製し、定量的RT-PCRを用いて種々の摂食調節ペプチドの遺伝子発現変化を測定した。 亜鉛欠乏食を与えてから2日目から摂食量が減少し始め、3-4日目で最低となり、4-5日目には一時的に増加した。これは3-4日ごとに摂食量が一時的に増加するという亜鉛欠乏に特徴的な摂食サイクルである。摂食量が最低となった飼育3-4日目において、最も強力な摂食促進ペプチドのneuropeputide Y(NPY)の発現量がPF群と比較し増加する一方、摂食抑制ペプチドとして知られるcorticotropin-releasing hormone(CRH)が低下した。また、摂食量が増加した飼育4-5日目ではZnD群のNPY mRNAの低下と、CRH mRNAの上昇が認められなかった。 摂食量の変化とNPYとCRHの発現量:の変化が一致することから、亜鉛欠乏の摂食異常には視床下部のNPYとCRHが関与していることが明らかとなった。
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