2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780092
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橋本 堂史 神戸大学, 農学部, 助手 (90362764)
|
Keywords | カフェイン / 細胞周期 / JB6細胞 |
Research Abstract |
本研究では、まずコーヒーやお茶に多く含まれるカフェインの抗がん作用機序を細胞増殖という観点から調べた。以前にカフェインのアポトーシス誘導活性については以前に報告している(He, Z., Ma, W.-Y., Hashimoto, T. et al., Cancer Res.63(15),4396-4401,2003)ので、今回は細胞周期に及ぼす影響を中心に調べた。 血清飢餓状態により細胞周期をG_0/G_1期に同調したマウス上皮細胞由来JB6 Cl41細胞を、あらかじめカフェインで処理し、その後、血清を添加し細胞増殖を促した。カフェインであらかじめ処理した細胞は、処理していない細胞に比べ、明らかに細胞周期のG_0/G_1期からS期への進行を阻害した。この阻害には、細胞増殖シグナルであるAkt-GSK-3β経路の阻害が関係しており、その結果として、この進行に重要なcdk4/cyclinDの活性化、それに続くレチノブラストーマタンパク質のリン酸化が阻害されると考えた。 次に、カフェインの代わりに、カフェイン構造類似化合物によりG_0/G_1期に同調した細胞をあらかじめ処理した。その後、上皮細胞成長因子により増殖を促し、18時間後の細胞周期をフローサイトメトリーにより解析した。上皮細胞成長因子により増殖を促した細胞の50%がS期へと進行していた。カフェイン(1,3,7-トリメチルキサンチン)であらかじめ処理した細胞では70%がG_0/G_1期に留まり、明らかにS期へ進行を阻害した。この阻害活性は1,3-ジメチルキサンチンでも同様の効果が確認され、1,7-ジメチルキサンチンおよび3,7-ジメチルキサンチンでは減少した。モノメチルキサンチンではさらに阻害活性が減少することから、1位と3位のメチル基が細胞周期開始阻害活性に重要であると考えた(日本農芸化学会2005年3月・札幌で発表予定)。
|
Research Products
(2 results)