2004 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部の神経伝達物質応答解析に基づく大豆イソフラボンの食欲抑制効果の機構解明
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16780093
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岸田 太郎 愛媛大学, 農学部, 助手 (80304658)
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Keywords | イソフラボン / 大豆 / 食欲 / エストロゲン / 視床下部 / 神経伝達物質 / レプチン / ダイゼイン |
Research Abstract |
先に我々は大豆イソフラボンを高含量で含む発酵大豆抽出物がメスラット特異的な飼料摂取量低下をもたらすことを見出した。本研究はこの作用物質と機構を解明することを目的とし、本年度は以下の成果を得た。7週齢のSD系オス、メスおよび卵巣摘出メスラットに主要な大豆イソフラボンであるダイゼインおよびゲニステインを添加した飼料を与え4週間飼育したところ、ダイゼインのみがメスおよび卵巣摘出メスラットの飼料摂取量を低下させた。この効果はオスには見られなかった。これによりメスラット特異的な食欲抑制効果をもたらしているのはダイゼインであることが明らかになった。また同様のラットにエストラジオールを連続的に皮下投与したところ、飼料摂取量はオスと卵巣摘出メスでのみ顕著に低下した。効果発現の性差がエストロゲンと異なったことから、ダイゼインの食欲抑制効果は単純なエストロゲン様作用によりもたらされている訳ではないと推測した。卵巣摘出メスラットにおいてダイゼイン摂取7および14日目に視床下部の食欲関連神経伝達物質の遺伝子発現を食欲抑制に関連したCRF、CART、GLP1等、促進に関連したNPY、ガラニン、オレキシン等、広範にプロファイリングした。同様な実験を2回繰り返したがこれらの遺伝子発現にダイゼインの食欲抑制効果を説明しうる変化は見られなかった。今後さらに実験系を修正し、データを蓄積する必要がある。食欲抑制シグナルである血清レプチン濃度はダイゼイン摂取によりむしろ低下しており、血清インスリン濃度に変化は見られなかった。これらの血中情報が直接的にダイゼインの食欲抑制に関わっている可能性は低いが、血清レプチン濃度の低下はレプチン産生部位である脂肪組織量が変動する以前のダイゼイン摂取早期から見られており、機構に何らかの関係があると見て、CCK等さらに広範な血中情報も含め引き続き検討する。
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