2004 Fiscal Year Annual Research Report
四重極型タンデム質量分析器によるハロゲン化チロシンの微量検出法の開発と応用
Project/Area Number |
16780097
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 陽二 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教授 (30305693)
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Keywords | 炎症 / ハロゲン / ブロモチロシン / 尿 / 活性酸素 / 質量分析 |
Research Abstract |
炎症の指標である好中球ミエロペルオキシダーゼは次亜塩素酸(HOC1)を産出し、好酸球ペルオキシダーゼはHOBrを産出する。本研究ではハロゲンを含んだ活性酸素に着目し、タンパク質の特異的な酸化生成物である「ハロゲン化チロシン」を測定するための微量検出定量の開発を行った。具体的には液体クロマトグラフィー/四重極型タンデム質量分析器(LC/MS/MS、Applied Biosystems API-3000)を用いて、ブロモチロシンなどのハロゲン化チロシン類及びその他のチロシン修飾物(ジチロシン、ニトロチロシン)の微量検出定量法を開発することを目的とした。まずハロゲン化チロシン類及びその安定同位体を合成した。安定同位体ジブロモチロシンはL-チロシン(13[C]9Y,13[C]6Y)を臭素化試薬(N-ブロモスクシニイミド)で処理し、HPLC精製した。ジクロロチロシンの場合はNα-アセチルチロシンを合成したのち、NaOC1処理によりNα-アセチル-ジクロロチロシンを合成し、脱保護して用いた。 数種類のチロシン修飾物をLC/MS/MSにより一斉分析する条件を構築するため、合成標品カクテルを用いて検討を行った。その結果、試料を固相抽出して分析するとチロシンやジチロシンについては測定可能であるが、ニトロチロシンやハロゲン化チロシンなどの修飾物については検出できないことがわかった。このためブタノール/塩酸系で試料のブチル化を行ったところ、ヒトの尿から(クロロチロシン類は検出限界以下であったが)これらの物質を検出定量すること成功した。現在、疾病や食生活との関連について検討している。また、LC/MS/MSによる手法は高感度であるが、装置自体が高価であるため、抗ジハロゲン化チロシン抗体を用いたELISAによる簡便測定法についても同時に検討している。
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