2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780100
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松藤 寛 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70287605)
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Keywords | 遺伝毒性 / フラボノイド / ケルセチン / 酸化生成物 / 抗酸化物質 |
Research Abstract |
近年、生体内酸化及びそれに関連する疾病の予防の観点から、天然・食品中の抗酸化物質の研究は多くの注目を集めている。いくつかの抗酸化物質は、遺伝毒性試験等によりその安全性が評価されているものの、その多くは「抗酸化物質そのもの」の遺伝毒性の評価であり、抗酸化物質が生体内で作用した際に生じる「酸化反応物」についてはほとんど検討されていない。そこで本研究では、ヒト細胞を用い、抗酸化試験と遺伝毒性試験を同一のプロトコールで行い、抗酸化物質の活性および変異原性、そして酸化反応により抗酸化物質から生じる酸化反応物の変異原性も同時に評価しうる系の確立を試みた。遺伝毒性試験としては、すでに確立されているヒトリンパ芽球細胞株TK-6遺伝毒性試験を用いた。TK-6細胞をケルセチン単独(0,25,50,100,200μM)もしくは酸化種(H_2O_2:25μM、CuCl_2:50μM、DPPH:25μM)とプレインキュベートした試料で処理し、その後に細胞毒性、小核試験による染色体異常誘発性、tk遺伝子をターゲットとした突然変異誘発性を評価した。ケルセチン単独においては200μMの濃度において遺伝子突然変異(無処理の2倍)が観察された。一方、低濃度のケルセチンと酸化種を混合した試験区においては、酸化種により生じる遺伝子突然変異及び小核誘発を抑制した。しかし、H_2O_2と25μMケルセチン、CuCl_2と50μMケルセチン、DPPHと100μMケルセチンを反応させた試験区においては遺伝子突然変異もしくは小核誘発が観察され、その頻度は反応させるケルセチンの濃度を増加させることにより増加した。以上のことから酸化種と反応によりケルセチンからgenotoxicな酸化生成物が生じる可能性が示唆された。
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