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2005 Fiscal Year Annual Research Report

屋久島における草食動物と森林構造の長期動態およびそれらの相互作用の解明

Research Project

Project/Area Number 16780107
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

揚妻 直樹  北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (60285690)

Keywordsシカ / 植生 / 攪乱 / 照葉樹林 / 屋久島 / 機能の反応 / 密度 / 相互作用
Research Abstract

本研究により以下のことが明らかとなった。全国各地でシカによる森林破壊が多く報告されており、密度が5から14頭/km^2を超えると植生への影響が顕著になると言われている。屋久島の照葉樹林では、シカ密度が60から80頭/km^2と報告されており、急激で著しい森林破壊が進行しているはずであった。しかし、ヤクシカが小型であることや照葉樹林の高い生産性を考慮しても、屋久島の照葉樹林ではシカの森林に対する悪影響は小さいものであることが示唆された。シカの森林に対する悪影響が少ないのは、彼らが安定した生息環境にあって、森林植生と安定的な相互作用を進化させてきた可能性がある。ヤクシカは食物の大半をリター(主に落葉)に依存し、植物が光合成を行う生産器官への採食が少なかった。また、サルが落とした食物も利用している。これらの他にも何らかのメカニズムによって森林への影響が緩和されていた可能性がある。シカを排除による植物種多様性の低下や土壌の栄養塩循環の減速も他研究により明らかになっていることから、もともと捕食者のいない屋久島では、その植物種の多様性の高さを、むしろシカが積極的に維持してきた可能性がある。一方、大規模伐採・人工植林で撹乱された場所ではシカの生息密度は著しく減少しており、その影響は植林から数十年経っている現在でも歴然と現れていた。さらに、シカ1頭当たりの植物への採食圧は自然林と比べ植林地では著しく高いことが解った。生息地の撹乱はシカの生態を変化させ、シカと植物の関係性に影響を与えていることが示唆された。植林地と自然林で見られたシカの採食圧に関する数の反応と機能の反応の逆転現象は、生態系管理を考えるうえで重要な示唆を与えていると言えた。

  • Research Products

    (5 results)

All 2006 2005

All Journal Article (1 results) Book (4 results)

  • [Journal Article] Tree growth, mortality, and recruitment among topographic positions in a warm temperate foresut.2006

    • Author(s)
      Riyou Tsujino, Hino Takafumi, Naoki Agetsuma, Takakazu Yumoto
    • Journal Title

      Journal of Vegetation Science (in press)

  • [Book] ヤクシカの森林環境利用「世界遺産 屋久島」(大澤雅彦・田川日出夫・山極寿一編著)2006

    • Author(s)
      揚妻直樹, 揚妻-柳原芳美
    • Publisher
      朝倉書店(印刷中)
  • [Book] 照葉樹林にすむヤクシマザルの採食戦略「世界遺産 屋久島」(大澤雅彦・田川日出夫・山極寿一編著)2006

    • Author(s)
      揚妻直樹
    • Publisher
      朝倉書店(印刷中)
  • [Book] 哺乳類の管理と保護「フィールド科学への招待」(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター編)2006

    • Author(s)
      揚妻直樹
    • Publisher
      三共出版(印刷中)
  • [Book] 森林の科学-森林生態系科学入門-(中村太士・小池孝良編)2005

    • Author(s)
      揚妻直樹
    • Total Pages
      218
    • Publisher
      朝倉書店

URL: 

Published: 2007-04-02   Modified: 2016-04-21  

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