2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 一秀 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助手 (60270899)
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Keywords | 外生菌根菌 / ミヤマヤナギ / 一次遷移 / 富士山 / 火山荒原 / フィールド実験 / 菌糸体ネットワーク / 菌種特性 |
Research Abstract |
富士山の一次遷移初期過程で優占する菌種11種(クロトマヤタケ、キツネタケ、ウラムラサキ、ギンコタケ、ワカフサタケ、Hebeloma pusillum、Hebeloma leucosarx、ハマニセショウロ、ニセクサハツ、キチャハツ、Cenococcum geophilum)を用いてフィールドでのミヤマヤナギ当年生実生への接種試験を行った。接種源には、富士山火山荒原における自然感染様式を模して、母苗から伸びる根外菌糸体を用いた。接種から4ヶ月後に全ての実生をサンプリングし、実生の成長に及ぼす菌糸体ネットワークの機能と菌種間差について解析を行った。その結果、用いた全ての菌種において、根外菌糸体による当年生実生への菌根形成が確認できた。この結果は、根外菌糸体によるミヤマヤナギ実生への感染が、一部の菌種のみに見られる現象ではなく、全ての菌種に普遍的なものであることを示唆する。こうして菌糸体ネットワークに接続した当年生実生の養分吸収量や成長は、ウラムラサキを除くと、いずれも対照区の実生より促進されていた。菌種によってその程度には大きな差が見られ、H.leucosarxなどで特に顕著な成長促進効果が見られた。また、ミヤマヤナギ成木側に植栽した実生に自然に感染することが多かったクロトマヤタケやハマニセショウロも、有意な成長促進作用を示した。このような結果から、根外菌糸体を経由した実生への菌根菌感染とそれに伴う養分吸収促進が、一次遷移初期過程におけるミヤマヤナギ当年生実生の生育に大きな影響を及ぼすことが解明され、それぞれの菌種の菌糸体ネットワークの果たす役割の違いについても示すことができた。
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Research Products
(4 results)