2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780113
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 大三 京都大学, 防災研究所, 助手 (40372552)
|
Keywords | パイプ流 / クラック / 浸透流 / 管路流 / 開水路流 / 斜面崩壊 / 選択流 / 数値計算モデル |
Research Abstract |
京都大学防災研究所・宇治川水理実験所において、水路に砂質土を充填した人工斜面を作成し、パイプ流と土層浸透流に関する実験を行なった。斜面土層内には人工パイプを埋設し、人工降雨装置によって土壌表面に降雨を与え、土層の間隙水圧分布、下流端からの流出量(土層浸透流・パイプ流)を連続的に計測した。実験は、人工パイプ長さ・閉塞部の有無を変えた3Case行い、パイプ構造が降雨流出過程と斜面安定性に与える影響を調査した。その結果を、開発したシミュレーションモデルを用いて解析した。このシミュレーションモデルは、土層浸透流理論と管路流および開水路流に関する水理学理論を組み合わせたもので、パイプ内の圧力変化も計算可能であり、既往のモデルよりも土層中の選択流を正確に解析できるものである。モデルシミュレーションの結果、人工斜面実験で得られた圧力水頭分布、土層および選択流からの流出量変化を正確にシミュレートできることが確認された。 平成16年度に、京都大学防災研究所・穂高砂防観測所の観測流域源頭部の斜面において、地形測量、土層深分布計測、土壌水理特性の調査を行なった。さらに、観測機器を設置し、水文観測を開始した。平成17年度は、斜面土層内を掘削し、土層内に存在した選択流路を遮断、閉塞させ、土層内圧力水頭分布および、下流端からの流出量にどの様に影響するかを調査した。その結果、圧力水頭・下流端流出量共に、選択流路の閉塞直後には、影響を受けるものの、その後、急速にもとの状態に戻り、閉塞された選択流路が早い段階で復活することが確認された。そのため、当初想定していた、選択流路の閉塞による斜面安定性の低下という現象は確認されなかった。これは、選択流路の形状がパイプ状ではなく、どちらかというとシート状であったため、閉塞時の土壌水分状態・直後の降雨条件等が斜面安定性を低下させるようなものでなかった等が影響している。
|