2004 Fiscal Year Annual Research Report
動物散布型樹木の存在がカラマツ人工林の生態的プロセスに及ぼす影響
Project/Area Number |
16780121
|
Research Institution | Yamanashi Forest Research Institute |
Principal Investigator |
長池 卓男 山梨県森林総合研究所, 森林環境研究部, 研究員 (50359254)
|
Keywords | 生態的森林管理 / 人工林 / 長伐期 / 生物間相互作用 / カラマツ |
Research Abstract |
日本の人工林面積は1000万haを超え、自然環境や農山村環境を考える上でぐ人工林の存在様式を無視することはできなくなっている。そこで、カラマツ人工林における生態的プロセスを明らかにするために、林床植物の植物種多様性を把握することによる解析を試みた。 山梨県北部に位置する須玉町内の県有林24林分(カラマツ人工林の壮齢林(約40年生、10林分)と高齢林(約60年生、7林分)、およびミズナラを主とする落葉広葉樹二次林(約50年生、7林分))に、調査地を設定した。調査区の標高は1200-1600mである。カラマツ人工林は、最後の管理(間伐等)以降、5年以上経過している林分を選定した。落葉広葉樹二次林の過去の管理履歴は不明であるが、薪炭林としての利用後、第二次大戦直後に最後の伐採が行われ、その後再生した林分と思われる。調査区の面積は10m×100m(0.1ha)で、調査区を5m×5mの方形区に分割し、その方形区内に1m×1mの小方形区を設置した。1m×1m小方形区では、高さ2m未満の維管束植物種名を記録した。この解析に用いた小方形区数は合計で960個である。 その結果、人工林では、二次林と比較して高木になりうる種が少ないことが明らかとなった。さらに、壮齢林と高齢林での高木になりうる種の種子散布型を比較したところ、壮齢林では種子散布に動物が関与する種は見られないものの、高齢林ではそれが多くを占めていた。したがって、カラマツ人工林の高齢化(長伐期化)は、植物一動物間の相互作用系を回復する可能性を示唆した。
|
Research Products
(4 results)