2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780130
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
大村 和香子 独立行政法人森林総合研究所, 研究員 (00343806)
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Keywords | シロアリ / 嗅覚 / 忌避物質 / 嗜好性物質 / 摂食行動 |
Research Abstract |
本研究では、シロアリの‘におい'識別メカニズムの特徴を理解することを目的とする。 本年度は(1)触角電位測定用ガスクロマトグラフ装置を用いた各種物質に対するシロアリ触角電位反応の確認(2)シロアリに忌避効果を有し且つヒトへの生理影響がない天然由来物質の候補としてのカミキリムシ防御物質の同定を行った。 触角電位測定用ガスクロマトグラフ装置を用いて、イエシロアリやヤマトシロアリに共通する道しるべフェロモンである(Z, Z, E)-3,6,8-dodecatrien-1-olに対してイエシロアリ触角の応答が確認できた。しかしイエシロアリが行動実験で嗜好する蒸煮処理カラマツ心材抽出物や高温乾燥スギ心材の各有機層画分に関しては、含有されるいずれの成分に対しても触角の応答は認められなかった。蒸煮処理材等高温処理材抽出物の水層画分に関してはシロアリ味覚感覚毛でも応答が得られない。触角センサ部分の改良を行い、応答感度を上げて再度確認する必要はあるが、この結果から、蒸煮材などの高温処理材の嗜好性は味・においの両刺激を同時に受容することで解発される可能性も示唆された。 一方、行動実験により、香水のような芳香を有するオオシマミドリカミキリムシ防御物質がイエシロアリに忌避効果を示すことが明らかとなった。さらに防御物質の同定を試みたところ、防御物質にはシクロペンタノイド骨格を有するモノテルペンの一種Iridodialおよびその異性体4種が主として含有されていることが判明した。主成分に関してその立体構造解析を進め、構造を1R,2S,5S-iridodialと推定した。
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