2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマーカーによるクルマエビ科甲殻類の遺伝的多様性保全に関する研究
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16780138
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高木 基裕 愛媛大学, 農学部, 助教授 (70335892)
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Keywords | DNAマーカー / マイクロサテライト / ミトコンドリアDNA / クルマエビ科甲殻類 / クルマエビ / ウシエビ / 遺伝的多様性保全 |
Research Abstract |
本研究では、遺伝的多様性解析によるクルマエビ科甲殻類の資源管理計画の立案をめざし、本年度は研究対象種のクルマエビについてマイクロサテライトDNA多型とミトコンドリアDNA多型を用いて集団の遺伝的多様性解析を行った。また、ウシエビについては、マイクロサテライトDNA多型により、タイ王国におけるウシエビの導入海域と複数の養殖場の遺伝的様性について、養殖池の生産性との関連性について評価した。 クルマエビのマイクロサテライトDNA多型において遺伝的多様性の指標となる各地点のアリル数の平均値は15.5〜19.8、ヘテロ接合体率の期待値は0.837〜0.863であり、いずれの集団においても高い値を示した。また、集団間の遺伝的距離を示すデンドログラムを作成したところ、下関の集団は他の集団とは全く別のクラスターを形成するとともに日向灘の4集団は極めて近縁であることが示された。ミトコンドリアDNA多型のRFLP解析においても、同様の傾向を示した。以上のことから、宮崎県4地点の天然クルマエビは遺伝的に近く、その多様度は高い値を示すことがわかった。一方、下関の個体群は、他の個体群と異質であるとともに遺伝的多様度が低いことが明らかになったが、これは下関でのクルマエビの放流個体数が全国で最も多いことが関係していると考えられる。今後、種苗放流において、地域集団の遺伝的多様性および差異を考慮に入れ、天然クルマエビ資源を保全管理していく必要があると考えられる。 天然ウシエビ集団は、遺伝的多様性が高いことを示したが、養殖種苗においては、1ペアの種苗を用いている養殖場から、遺伝的多様性の高い種苗を用いている養殖場まで様々であり、用いられている種苗は程度の差はあれ、少数の親エビから生産されていることを示した。
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