2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋植物プランクトンの光学特性の日周変動量による基礎生産量の推定
Project/Area Number |
16780142
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
大井 信明 創価大学, 工学部・環境共生工学科, 助手 (70367192)
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Keywords | 植物プランクトン / 光学特性 / 日周性 / 基礎生産 |
Research Abstract |
細胞に光が透過する際に光が減衰する割合を消散係数といい、消散係数の増加の要因は屈折率nと細胞直径dの増加による。屈折率nの増加は細胞内密度の増加により起こり、細胞直径dの増加は細胞に当たる入射光に対する反射光の割合を高める。 細胞当たりの消散係数も日周変化を示す。植物プランクトンの細胞は日の入りにかけて二倍体になり夜間に細胞分裂を起こす。二倍体になったときの屈折率n、細胞直径dの増加により、細胞当たりの消散係数は大きくなる。又、細胞の主な構成物質である炭素は屈折率nの変動要因と考えられる。よって細胞内炭素量と屈折率nと細胞直径dとの関係を明らかにすることにより細胞当たりの消散係数と細胞内炭素量との関係を明らかにすることができると考えられる。 そこで本研究では(1)明暗サイクル下におけるプリムネシウム藻I.galbanaの細胞内炭素量と屈折率、また細胞直径との関係を調べることと、(2)細胞当たりの消散係数と細胞内炭素量の関係を日周の時間レベルで調べることを目的とする。 培養はf/2培地で水温25℃、塩分35PSU、光強度45μmol m^<-2>s^<-1>、明暗周期12L:12Dのもと連続培養を行った。試料採集は2時間ごと50時間行い、細胞数、細胞直径、消散係数、細胞内炭素量を測定した。 これより細胞当たりの消散係数は日中に増加し夜間に減少する日周変化が見られ、その変動量は32%だった。細胞内炭素量と屈折率n、細胞直径dとの間には屈折率n、細胞直径dの増加に対し細胞内炭素量が増加する有意な比例関係が得られた。細胞当たりの消散係数と細胞内炭素量の間には細胞内炭素量の増加に対し、細胞当たりの消散係数が増加する有意な比例関係が得られた。 細胞当たりの消散係数から細胞内炭素量が求められることが明らかとなったため次のことが考えられる。細胞内炭素量は日周変化を示し、細胞の一日の炭素量の変動は生産量に相当する。ピコプランクトンの優占する外洋域でも消散係数の日周変化が観測されている。よって細胞当たりの消散係数と細胞内炭素量の関係を調べることは現場の基礎生産量の推定に応用できる可能性が示唆され、今後海洋中での検証が必要であると考えられる。
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Research Products
(4 results)