2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝マーカーを利用したアミメノコギリガザミの交配様式と種苗の生残の検討
Project/Area Number |
16780144
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
伏屋 玲子 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所・石垣支所, 研究員 (40373469)
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Keywords | アミメノコギウガザミ / マイクロサテライトマーカー / 多型解析 / 種苗生産 / 交尾様式 |
Research Abstract |
アミメノコギリガザミの種苗生産では天然で交尾したと思われる成熟雌を野外で採集して親ガニとし,飼育下で産卵・ふ化させ,幼生を稚ガニまで育成するため種苗の父親,すなわち親ガニの交尾相手の雄の数については不明である.交尾相手の雄の数を特定することは遺伝的多様性および繁殖様式を検討するためには重要である.そこで,今年度は検出感度の高いマイクロサテライトマーカーを用いて,生産される種苗の遺伝的多様性について検討し,交尾相手の雄の数およびその父親のマーカー型を推定した. 標本として,冷凍保存した雌の親ガニの歩脚の筋肉およびその体内に残された貯精嚢の精包(精子),ならびに99%エタノールで保存したふ化直後のゾエア幼生を用いた.ゾエア幼生からのDNA抽出法についてはフェノール-クロロホルム法とゲノムDNA精製キットによる2つの抽出法を検討した.マイクロサテライトマーカー多型解析には,以前の研究においてアミメノコギリガザミゲノムDNAをもとに開発済みのマーカーのうち,SCY09とSCY15の2つのマーカーを使用し,シーケンサーによる自動フラグメント解析法を用いた. 幼生からの抽出は組織の量が大変少なく,フェノール-クロロホルム法により抽出することは大変困難であったため,実験用の標本はゲノムDNA精製キットを用いてゲノムDNAを抽出することとした.多型解析に用いた2つのマイクロサテライトマーカーの両方で特異的増幅がみられ,どちらのマーカー座でも多型が認められた.SCY09マーカー座ではそれぞれの幼生に異なるアレルが4つ見られ,すべての個体でヘテロ接合体が認められた.幼生と母親のマーカー型およびアレルをもとにマーカー座ごとに父親のマーカー型を推定することができた.母親由来のアレル以外のアレルの遺伝性を検討し,また貯精嚢のDNAと照合した結果,実験に用いた幼生の父親は1個体であることが推定された.
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