2005 Fiscal Year Annual Research Report
双方寡占下のフードシステムと食料政策に関する多地域間システム分析
Project/Area Number |
16780156
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 幸嗣 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (20274524)
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Keywords | フードシステム / 双方寡占 / 食料政策 / システム分析 / 空間均衡分析 / 酪農・乳業 |
Research Abstract |
フードシステムの計量研究においては,次の2点が各々重要な課題の1つとして残されている. 1.フードシステムの各段階で質的に異なる経済主体の行動原理および価格決定方式を,売り手と買い手の双方が一定の市場支配力を持つ双方寡占的な市場を媒介にしながら,システムとして一元的に統合し,フードシステムの全体を体系的かつ計量的に分析しうるシステム分析法を開発すること. 2.農業政策と食品産業政策が調和・一体化した食料政策を構築するために,農業政策や食品産業政策がフードシステムの各段階を越えて他の段階へそれぞれどのように影響していくか,それら政策の「交差効果」を体系的に計測・検証すること. 本研究の目的は,(1)以上の2つの課題を克服し,さらには多地域間にわたるフードシステムの計量分析をも同時に可能にするフードシステムの多地域間システム分析法を開発すること,および(2)その分析法をわが国酪農・乳業部門の多地域間市場分析に応用し,この部門を事例に,食料政策の今後の展開方向について考察すること,である. 平成17年度に実施した研究は次のとおりである. 1.酪農経営の生乳供給関数,乳業メーカー別牛乳需要関数および生乳の輸送費を各々地域別に推計した. 2.本研究で開発された多地域間システム分析法を利用して,わが国酪農・乳業部門の多地域間市場分析を行った. 3.わが国の酪農政策および乳業政策の動向と課題について,調査・整理した. 4.わが国の酪農政策および乳業政策の「交差効果」を各々計測した. 5.以上の市場分析および政策分析の結果をもとに,わが国の酪農・乳業部門について,食料政策の今後の展開方向を考察した. 6.本研究を総括し,残された課題について考察した.
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