2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780158
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
上岡 美保 東京農業大学, 国際食料情報学部, 講師 (90339094)
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Keywords | 食育 / 学校給食 / 主体間連携 / 地産地消 / コミュニケーション / 食料ロス |
Research Abstract |
本年度は、次年度に予定しているアンケート調査に先立って、調査地の選定も兼ね、それぞれ特徴の異なる3地域(福島県、香川県、沖縄県)でヒアリング調査を行い、特に、学童期児童に関連する小学校の学校給食を中心とした食育に関する現状及び問題点について状況把握を行った。 本研究の課題でもある学童期における食育の普及及び定着には、家庭における食教育能力の低下の下で、行政を中心に、家庭はもちろん、地域住民、学校、農協や生協といった各種団体等様々な主体の協力が必要不可欠である。しかしながら、本年度の調査結果によると、食育に積極的に取り組んでいる場合においても、必ずしもこうした主体間の連携が取れているとはいえない。特に、今回の研究で重視すべき点は、食育は、学校給食への地場農産物導入に代表されるように、地産地消とも深い関わりがある。本年度の調査地の一つで、学校給食における地産地消運動を展開している香川県飯山町では、学校給食への地場農産物導入を積極的に行っている。特に、本町は、県産農産物だけにとどまらず、地域産(町産)農産物の導入に力を入れており、現状では町内小中学校の学校給食への地域産農産物使用割合は36%、県産に至っては50%を超える。また、給食週間においては、学校給食に農産物を提供している農家が、実際に農産物持参で小学校を訪問し、小学生(150名程度)に対して、農産物の説明や小学生との交流もはかっている。またこの交流には、栄養士も同席し、農家と同様に子どもとの交流をはかっている。交流後は、子ども自身が何を学び取ることができたかを作文させ、交流の意義についても考えさせている。 こうした取り組みの効果の一つとして考えられるのは、現在、食料自給率低下に関わる食料ロスの削減が課題とされるなかで、食品ロスにおいては、学校給食における残飯の量も少なくない。つまり、こうした農家との交流があるいは、実際に調理にたずさわる栄養士や調理員との交流、言い換えれば、あらゆる主体とのコミュニケーションが食料ロスを減少させる効果があると考えられる。 次年度においては、以上の点も考慮しつつ、アンケート調査及び分析を進めていく予定である。
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