2005 Fiscal Year Annual Research Report
最適化モデル総合型GISによる河川水質管理のための意思決定支援システムの構築
Project/Area Number |
16780168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 滋哉 京都大学, 農学研究科, 助手 (00346074)
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Keywords | 河川水質管理 / 最適化 / 汚濁負荷 / 意思決定支援 / 点源 / 面源 / 地理情報システム / 不確実性 |
Research Abstract |
河川への負荷排出源に対し,許容最大COD(化学的酸素要求量)負荷量を配分するための最適化モデルを,多目的線形計画法を用いて開発した.汚濁負荷排出源として,工場,事業場といった点源に加えて,新たに,農地,市街地,ゴルフ場といった面源からのCOD負荷も考慮し,その排水濃度を最適化モデルにおける決定変数とした.面源負荷は対象河川全体を分割した小流域単位で一括し,許容COD排出負荷量を小流域の土地利用ごとに算出できるようモデルを定式化した.河川流量,自浄係数等のパラメータの不確実性を考慮するため,ロバスト最適化の枠組みを用いてそれらの影響をコントロールした非劣解(パレート最適解)が得られるようにした.モデルを滋賀県の代表的河川である野洲川下流部に適用し,求まった非劣解を用いて現在の水質管理状況を診断評価した.その結果,負荷の再配分によって河川水質が良好になる可能性があることがわかった. 次に,最適化モデルを河川水質管理における政策決定に利用しやすくするため,既存の多基準集団意思決定法と最適化モデルとを統合する方法を開発した.各意思決定者が各代替案を支持する度合いを代替案支持行列の要素値として定量化し,この行列を各基準に基づく各代替案の評価の度合いを要素に持つ計画評価行列と,各基準の各意思決定者にとっての重要度を要素に持つ個別基準優先行列の積で表した.ここで,計画評価行列は最適化モデルの非劣解より計算し,個別基準優先行列は意思決定者の各評価基準に対する選好を反映した重みとした.滋賀県の野洲川下流部における河川水質管理問題に5人の意思決定者,7個の代替案(非劣解),7個の評価基準を仮定し,手法を検証した.最終的に政策として採用される,点源74箇所および小流域末端部9箇所へのCOD負荷量の配分案が得られた.
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