2004 Fiscal Year Annual Research Report
ルーメン細菌の代謝制御によるルーメンアシドーシスの防御および発酵の改善
Project/Area Number |
16780190
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
浅沼 成人 明治大学, 農学部, 講師 (50366902)
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Keywords | ルーメンバクテリア / ルーメンアシドーシス / Streptococcus bovis / カタボライト制御タンパク(CcpA) / 乳酸脱水素酵素(LDH) / ピルビン酸・ギ酸開裂酵素(PFL) / 代謝物抑制 |
Research Abstract |
ルーメンバクテリア、Streptococcus bovisのCcpA転写制御機構による乳酸生成の調節 ルーメンにおける乳酸生成は過剰であればアシドーシスをもたらすので、その適切な制御が望ましい。それ故、ルーメン内の主要な乳酸生成菌であるS.bovisにおける乳酸生成の制御について検討した。本菌の乳酸生成は乳酸脱水素酵素(LDH)とピルビン酸・ギ酸開裂酵素(PFL)の活性比により決まる。そこで本研究では、カタボライト制御タンパク(CcpA)がどのようにLDHとPFLの転写制御に影響するかを調べた。CcpA遺伝子(ccpA)の転写開始部位のさらに上流にはCcpA結合部位であるcatabolite response element(cre)領域が存在しており、ccpAは自己転写制御をおこなうものと考えられた。ccqA欠損変異株を遺伝子相同的組換え法により作製した。グルコースとラクトースを糖基質としてバッチ法で親株を培養したところ、増殖パターンはダイオーキシーとなり、グルコースがラクトースよりも優先的に利用された。しかし、ccqA欠損株では、グルコースとラクトースが同時に利用された。この結果から、CcpAはS.bovisの代謝物抑制の転写制御に関与していると考えられた。ccpA欠損株をグルコース培地で培養したところ、親株に比べ、LDH-mRNAの量は減少したが、PFL-mRNAの量は増加した。また、LDHおよびPFL遺伝子の上流にはcre領域が存在していた。従って、CcpAはLDHとPFLの転写制御にも関与しており、LDHの転写はCcpAにより促進され、PFLの転写は抑制されると考えられた。これらのmRNAの量は酵素の比活性(菌体あたりの酵素量)と平行関係にあった。ccpA欠損株は親株よりも乳酸生成量が少なく、ギ酸生成量が多かった。以上の結果から、S.bovisはCcpA転写制御因子としてLDHとPFLの合成を転写レベルで相反的に調節することにより乳酸生成を調節すると考えられた。
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